
アインシュタインは一般相対性理論で「時空はビッグバン特異点で始まり、もし全宇宙が再崩壊するならばビッグランチ特異点、もし星のような局所的な領域が崩壊するときにはブラックホールの中の特異点のどちらかで終わる。」としている。特異点というのは数学の言葉で、例えば 1/xという量を考えて、この量はxが0のとき無限大になって、特定の量を取らないので、x=0を特異点というのである。
量子力学が宇宙の起源と運命についてどう考えているかを知るためには、まず最初に「ビッグバン・モデル」について知る必要がある。このモデルでは宇宙が膨張するにつれてその中にあるすべての物質または放射は冷却していくことになる。ビッグバンそのものの時点では、宇宙の大きさはゼロであり、無限に熱かったと考えられている。しかし、宇宙が膨張するにつれて放射の熱は低下した。ビッグバンの1秒後には温度は約100億℃に下がっていたろう。これは太陽の中心温度のほぼ1,000倍だが水素爆弾で同じぐらいの高温が得られる。この頃には、宇宙含まれているのは、主として光子、電子、ニュートリノとその反粒子、それに若干の陽子と中性子である。
ビッグバンの100秒後には、宇宙の温度は最も熱い星の内部の温度である10億℃に下がっているだろう。この温度では陽子と中性子はもはや強い核力の引力を逃れるに十分なエネルギーを持っておらず、結合して重水素の原子核つくりを始める。その後で重水素核はさらに陽子および中性子と結合しヘリウム原子核をつくるだろう。ビッグバンモデルでは陽子と中性子の4分の1がヘリウムおよび少量の重水素とその他の原子に転換したと計算されている。この推論は1946年ガモフが発表している。
ビッグバンから数時間も経たないうちにヘリウムの他の元素の生産は停止し、それ以降100万年ぐらいの間宇宙はただ膨張を続け、ついに温度が数千℃に下がって、電子と原子核が両者の間の電磁気的引力に勝つのに十分なエネルギーを持たなくなると、これらは結合して原子を作り始める。宇宙は全体としては膨張と冷却を続けるが、場所により程度が異なり、わずかに回転しはじめ、ついに円盤状の回転する銀河になるものもある。
地球はもともと非常に熱く、大気を持たなかった。だが時が経つにつれて冷却され岩石から噴出した気体によって大気をもつに至った。初期の大気は窒素、硫化水素などを含み酸素はなく、生物が生きる環境ではなかった。
【Yoshiのつぶやき】この辺りのところは、数年前の「吾輩は微細藻である」で触れたのでこの辺でやめておこう。ところで、昨日、世界のニュースが今年のノーベル物理学賞の受賞を発表した。昨年7月以来、存在が確認されつつあった「ヒッグス粒子」について、1960年代にその存在を提唱した英エディンバラ大のヒッグス名誉教授とベルギーブリュッセル自由大学のアングレール名誉教授である。両氏の提唱はまさにビッグバン直後の宇宙に関するもので、ビッグバン直後存在はあるが、質量を持たなかったクォークやニュートリノが重さを持つに至った理由を説明するものである。CERN(欧州合同原子核研究機構)のデーター解析は、複雑で我々の理解を越えるが、我がブログフォロアーの数学レベル内だと思うので、しばらく関心を持って見つめようようではないか。
(2013-10-10 Yoshi)