アリストテレスは、物質は、例えば金は何処まで分割しても金であると考えていた。デモクリトスは全ての物質は多数の原子の集合体と考えていた。どちらも特別の論拠なくそのように考えて来たが、1803年にイギリスの化学者・物理学者ジョン・ドールトン(1766-1844)が、化合物がつねに一定の比率で生成される事実から、原子の考え方を整理したが、20世紀に入るまで、物質の最小単位は原子であると考えられてきた。1803年のジョン・ドールトンの発表に続き、アインシュタイン(1879-1955)は一連の論文を書いて原子がどんな物かを示した。
1970年頃まで、陽子と中性子は”素粒子” と考えられていたが、陽子を他の陽子または電子に高速で衝突させるとこれらはもっと小さな粒子でできていることが判明した。この小さな粒子はクオークと命名されました。クオークは6種類からなり、第一世代のアップ、ダウン、第二世代のチャーム、ストレンジ、第三世代のトップ、ボトムである。各世代は電荷が正と負の対からなり、質量が世代が上がると増加する。より重いクオークは粒子崩壊の過程を経てすぐにアップおよびダウンに変化する。クオークは可視光の波長よりもはるかに小さく通常の意味での色は持ちえない。アップ、ダウン、チャーム、ストレンジ、トップ、ボトムは単なるラベルである。量子力学によれば、全ての粒子は波動でもあり、エネルギーが高ければ高いほど、それに対応して波の波長は短くなる。この粒子のエネルギーは通常電子ボルトと呼ばれる単位で測られる。人間が使い方を知っている唯一の粒子エネルギーが、燃焼などのような化学で発生する数電子ボルトという低いものに過ぎなかった19世紀には原子が最小の単位と考えられていた。ラザフォードが実験で用いたアルファ粒子は、数百万電子ボルトというエネルギーを持っていたが、最近我々は電磁波を利用し何十億電子ボルトというエネルギーを粒子に与えるすべを知った。
そのため、1970年頃まで「素粒子」と考えられていたものが実はもっと小さな粒子であることが判ったのである。波動と粒子の二重性から、宇宙のすべてのものは光と重力も含めて粒子という言葉で記述できる。これらの粒子はスピン(スピン角運動量)という性質を持っている。スピンの1つの捉え方は、軸を中心に自転している小さなコマのように粒子を想像することである。
下の図を見て欲しい。スピン0の粒子は点のようなもので、緑の球がそれである。何処から見ても同じである。スピン1はスペードのエースのようなものである。この図で時計周りに1回転すれば、同じに見える。スピン2はハートのクイーンのようなものである。時計回りに1/2回転すれば同じに見える。不思議なことに完全に1回転しても同じに見えない。2回転しないと同じに見えない粒子が存在する。
現在素粒子は、物質粒子とゲージ粒子(力粒子)に分かれ、
物質粒子はクオークおよびレプトン;
クオーク(陽子および中性子):アップ、ダウン、チャーム、ストレンジ、トップ、ボトムの香りがあり、
それぞれの香りが3つの色、赤、緑、青を持つ
レプトン(電子およびニュートリノ):電子、ニュートリノ、ミューオンニュートリノ、ミュー粒子、タウオンニュートリノ、タウ粒子
ゲージ粒子は;グル―オン(強い力)
ウイークポゾン(弱い力)
光子(電磁気力)
量力子(重力) である。
宇宙の既知のあらゆる粒子は2つのグループに分けることができる。宇宙の物質を作り上げているスピン1/2の粒子と、物質粒子間の力を作りだすスピン0,1,2の粒子である。
電子その他のスピン1/2の粒子が正しく理解されたのは、1928年、ディラックが1つの理論を唱えて正しく理解されるようになった。その理論は、電子に陽電子があるという理論である。電子は1回転させた所で陽電子により消滅し、2回転で始めて同じに見えるのである。
力を担う粒子のもう一つの重要な性質はパウリの排他理論に従わないことである。(1回転で瞬時に消滅するからか?)
ゲージ粒子は力を司る粒子である。強い力、弱い力、電磁気、重力からなっている。順不動で論じよう。始めが重力である。この力は普遍的である。全ての粒子がその質量すなわちエネルギーに応じてこの力を受ける。重力は4つの力の中でずば抜けて弱い。2つの特別な性質がなければ我々はこの力に気付かなかっただろう。2つの力とは、遠距離までその作用が届くこと、それがつねに引力であることである。このことは、地球と太陽のような2つの大きな物体の間の粒子については、粒子間の力は小さくても全部あわさればかなりの大きさになりうることを意味する。量子力学的な見方では、2つの物質粒子間で働く重力子はスピン2の粒子が担っている。重力子はそれ自体質量を持たないのでその担っている力は長距離力となる。
次は、電磁気力である。これは電子やクオークのような電荷を帯びた粒子に働くが重力子のような電荷を帯びていない粒子には作用しない。この力は重力に比べはるかに強い。電子の間に働く電磁気力はその間に働く重力の1042倍である。しかし電荷には正と負がある。太陽や地球のように大きい物体では正と負とはバランスしている。原子や分子といった小さな尺度では支配的なのは電磁気力である。原子核内の陽子の間に働く電磁気の引力が電子に原子核の周りを回らせる。
第三の力は弱い核力と呼ばれるものがある。これが放射能に関わりのある力であり、スピン1/2の全ての物質粒子に作用するが、光や重力子のようなスピン0,1,2の粒子には作用しない。
第4の力は、陽子と中性子の中でクオークをまとめており、原子核の中で陽子と中性子をまとめている強い力である。この力はもう1種のスピン1が担っていると信じられている。これはグルーオンと呼ばれるもので、自分自身およびクオークとしか相互作用しない。強い核力には「閉じ込め」という奇妙な性質がある。つまり、この力は粒子を結び付ける際に、つねに色が無くなるような組み合わせ方をするのである。クオークは単独では取りだせない。赤、緑あるいは青の色があるからだ。赤のクオークは単独でいるかわりに、グル―オンの”ひも”によって緑と青のクオークと結び付く。(赤+緑+青=白)。このような3つ組みが陽子あるいは中性子を構成する。粒子を白くする可能性はもう一つある。それはクオークと反クオークの対である。このような組み合わせで形づくられるのがいわゆる中間子だが、これは不安定なものだ。クオークと反クオークは互いに消滅し合って電子その他の粒子をつくるからである。CERN(欧州原子核研究機構)
【我ブログフォロアー諸氏へ】大学を卒業した頃、陽子・中性子・電子だけだった素粒子が、いつの間にか12個の物質粒子と、4個のゲージ粒子になっている。クオークに反クオークがあるとすればその数はたちまち2倍になる。クオークができる時、同数近くの反クオークができるが、クオークと反クオークが出会えばたちまち消滅するから、現実には幸いなことに、残ったクオークはほぼ全てクオークで反クオークはほんのわずか。たった100億年の短い期間に、我々が反我々に出会い消滅する機会な無いようである。話しを先に進めよう。次はブラックホールだ。
(2013-9-25 Yoshi)
