生田先生の本を読んでいて、このブログの最初に戻った気がした。けれど良く考えてみると、早田先生と生田先生とで、重なるところがたくさんある。ジャパニーズパラドックスである。お二人が、炎症で結び付いた。
EPAは、吾輩得意のジャンルである。
炎症が生活習慣病の原因である。ところで炎症性の病気が蔓延した本当の理由は何か。
炎症性の病気が蔓延した本当の原因は、炎症をコントロールするホルモン(特定の臓器から放出され、別の臓器が受け取ることで効果を現す物質)のバランスが崩れることである。
炎症の始まりから終わりまでをコントロールする物質(ホルモン)をエイコサノイドという。
病原体を撃退した後や、傷が治癒した後には、直ちに炎症を停止すべきである。これが停止しないと炎症が低いレベルで持続し、細胞、組織、血管を攻撃する。
炎症性物質の代表は、炎症性エイコサノイド、坑炎症性物質の代表は、坑炎症性エイコサノイドという。
病原体が入ってきた時真っ先に反応するのが白血球中の好中球やマクロファジーで病原菌を飲み込み、猛毒の活性酸素を用いて分解する。どちらも炎症を進めるので、炎症性細胞という。
炎症性エイコサノイドは炎症プロセスのアクセルであり、好中球やマクロファジーを炎症の現場に出来るだけ早く送り込めるよう、血管から外へ出やすくする。炎症性エイコサノイドは、免疫系にかかわる細胞に炎症性物質を放出させるので、炎症はさらに激しさを増す。炎症により病原体は死滅するが周りの組織も破壊される。一方ブレーキに相当する坑炎症性エイコサノイドは被害にあった組織の修理と再生を担当する。
体に敵が侵入しないか絶えず見張っている細胞がある。この見張り役を肥満細胞(mast cell)という。侵入を発見すると直ちにヒスタミンというメッセンジャーを放出する。ヒスタミンは免疫細胞にくっつき血管を通じて全身に回り、次に、炎症性エイコサノイドが活躍し、腫れ、発熱、発赤といった炎症が現れる。痛みは、
炎症が起きていることを、神経細胞を経由して脳に伝える信号である。
免疫系が病原体と戦い戦闘が収まると、次は坑炎症性エイコサノイドの出番である。
炎症の問題は、激しいが一時的な炎症プロセス(急性炎症)が穏やかだが持続するものに変わる時に始まる。これが慢性炎症である。この時、慢性炎症は敵をやっつけるのではなく、身体の健康な、細胞、組織、血管への攻撃を始める。
最近の研究の積み重ねから、慢性炎症がさまざまな方法で体に深刻な障害を与えることが判明している。
ここで、EPAの重要な役割がクローズアップされることになる。
炎症の始めから終わりまでをコントロールするのがエイコサノイドである。
炎症を進めるのが炎症性エイコサノイド、停止するのが坑炎症性エイコサノイドである。
オメガ6(リノール酸)から炎症性エイコサノイドができ、オメガ3(リノレン酸)から坑炎症性エイコサノイドができる。オメガ6はインスリンの存在下で、アラキドン酸を経由して炎症性エイコサノイドとなるので、インシュリンの過剰な放出を避ける必要がある。そのため、低GI食を摂取することが好ましい。青魚を食べオメガ3を増やすことも重要である。
(以上生田先生の書籍より。)
早田先生にももう一度ご登場いただこう。
先生にインフラメイジングと言う言葉を教えていただいた。写真を見ていただこう。
30週齢で高ポリアミン飼料を食べて元気はつらつ。
同じく30週齢のマウスで通常の飼料を食べたもの。 30週齢と言うとヒトでは中年だそうだ。毛が抜けていかにも元気がない。(早田先生の講演より)
生活習慣病の原因は、慢性炎症である。坑酸化剤の摂取は対象療法ではあるが、ポリアミンの如き、原因に向けての治療法が大切で、そのためには、昔からある自然の食事をとることが唯一の解決法である
と主張であるが、十分説得性のある主張である。
ポリアミンの文献を読んでいて、ドキッとしたことがある。過剰のピリアミン蓄積はアポトーシスを招くという記載である。(Christophe Moinard,2004)である。ご承知アポトーシスはプログラムされた死である。オタマジャクシが蛙になる時、尻尾が落ちたり、秋になると落葉するなどがこれに当たる。予定の行動だから驚くことはないが、何かが消滅することには変わりない。しかもポリアミンが関わっているとなると気になるところだ。
でも大丈夫。体は、余分のポリアミンは分解する機能をもっているし、食品から摂取するポリアミンの量でポリアミンが過剰になることはない。動物試験でNOAEL(The no-observed –adverse-efect-level,良くない効果が表れる摂取量)が確かめられており、そのレベルは、
プトレッシン、スペリミジン、スペルミンの順で、其々180,83,19 mg/kg体重であり。食事で摂取すると想定される量を超えている。(Pavel
Kalac, 2004)
もう一度ポリアミンの構造モデルをみて欲しい。
黒が炭素、白が水素、青が窒素である。なんとも整った姿ではないか、細長くて細胞膜を通過するのに都合良く、窒素のところで+1価の電荷を持っている。
まとめに変えて今の時点で微細藻の将来性は、次の通りである。また考えよう。
その1:スピルリナの利用
as たんぱく質、フィコシアニン、ポリアミン
その2:海産珪藻
as EPA原料
その3:発電所利用;湿潤微細藻燃焼 w/純粋酸素燃焼
(2012-12-26 Yoshi)
