ポリアミン、PUT(プトレッシン)SPD(スペルミジン)SPM(スペルミン)は細胞の代謝に不可欠であり、体を健康に保つのに必要である。以前はポリアミンは必要に応じて体内で合成されると考えられてきたが、必須アミノ酸のように、ポリアミンも食事から摂取しなければならないという報告が出、必要性が証明されてきた。イギリス人成人の1日必要摂取量は、350-500μmol//日である。PUTは、果物、チーズ、非緑色野菜、SMDは万遍なく色々な食品から摂取し、SPMは肉から摂取すべき。ねずみの試験では、ポリアミンは腸から吸収され、PUT80%以上が、他のポリアミンおよびポリアミン以外(主としてアミノ酸)に変換され、SPDSPMとは70-80%が原型のまま胃内にとどまることが判った。(以上Bardocz 1994

現在、人が、ポリアミンを得る3つの経路が知られており、1つは、体内代謝、もう一つは食品からの摂取(上述Bardocz)であり、3つ目は腸内細菌による体内での生産である。細菌によるポリアミンについては、報告書(細菌類のポリアミン構成とその化学分析、浜名康栄、2002)があり詳しい経路が判明している。

細菌類が体内でポリアミンを必要とする理由が報告に記載されているが、我が微細藻がポリアミンを必要とする理由も同じであろうと推察する。

 

体の中でどこにあるかとタイトル付けたのは。植物でポリアミンが、米ではぬかに多く、小麦では胚芽に多く、動物では肝臓に多かったりするから、体のなかでも何かの理由で脳に多いとかそんなことがあるかなと思ってのことだ。

 

動物について次の報告がある。

a.膵臓、脳、子宮で、ポリアミンは計時変化なく一定濃度に保たれる。これらの臓器が重要であることが理由と思われる。膵臓では多くの消化酵素が作られ、脳は全ての情報チャンネルが存在し、子宮は生理のためたんぱく質の作成を活性化する必要がある。人では老人の赤血球中のポリアミンが若者のそれより少ないとの報告がある。(マウスの例五十嵐論文より)

b.肝臓、腎臓、心臓ではSPM濃度が、10週齢で3週齢の50%となった。(マウスの例五十嵐論文より)

c.ワカサギにポリアミンが飛び抜けて多いのは気になるところである。貯蔵期間中に、高塩性古細菌の影

響を受けた可能性があるかもしれないと考えている。

 

主題を忘れてはいけない。スピルリナが窒素固定してたんぱく質を作るが窒素で作るものはたんぱく質ばかりではなかろうというという話だった。ポリアミンという物質があって、窒素が重要な役割を果たす。ポリアミンは大変重要な物質で人が生きていくのに不可欠であることが判った。さらなる追求はしばし先に譲って、たんぱく質に戻ろう。

 

スピルリナは体内で光合成をする。光合成色素はたんぱく質である。光合成で炭水化物を作る。光合成に必要な色素は何とか作ったとして、スピルリナが始めて世に出た時代に、アミノ酸がそのあたりにごろごろある訳がない。光合成で作った炭水化物と、なんとか固定した窒素を使って、アンモニアを作り、カルボン酸を作り、アミノ酸を作ったはずだ。

ようよう必要なアミノ酸をつくり、たんぱく質の生産に取り掛かった。

スピルリナに含まれるアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニールアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンの18種類だ。必須アミノ酸が全て含まれる。必須アミノ酸たって、これはヒトの話スピルリナには関係ない。ちなみにこれらのアミノ酸の含有量の合計は、スピルリナのたんぱく質量とほぼ一致するので、たんぱく質 アミノ酸となる。
 

細胞を読む 山科正平ブルーバックより)

単細胞植物がたんぱく質で出来ていると言ったってよく判らない。写真が良かろうと上の写真をお見せする。肝臓の細胞である。図全体が肝臓の細胞の部分で、中央の丸が、核である。これ自体膜に囲まれて独立している。核の外側に丸く見えるのもそれぞれ独立した膜につつまれた小胞で、ミトコンドリアだとか、ゴルジ装置やら小器官が、ぎっしりと詰まっている。この細胞自体が、別の細胞と膜を介して隣の細胞としっかりくっついている。小胞と小胞の間には、細胞質が詰まっている。
(2012-11-19 Yoshi)

 

こうして見ると細胞というには、大きな袋の中に小さな袋がきっちり詰まって、細胞自体も隣の細胞ときっちりくっ付いた存在だ。大きな風船の中に大小さまざまな風船が入っていて、各風船は独立しており、それぞれ独立している。何と各所に薄い膜があり、細胞の中では、小胞は細胞質の中に浮いている。それぞれの小胞は生きる術を細胞質から与えられ、余ったら細胞質に放出する。