この当たりで、窒素を固定して何を作るか考えてみよう。窒素を含む化合物がたんぱく質以外にもあるではないか。
ところでたんぱく質って何だ
中村桂子さんによると、
酵素、生理活性物質(ホルモン、神経伝達物質など、)、構造たんぱく質(筋肉など新しい細胞をつくるためのたんぱく質)など、
柳田充弘さんによると。
たんぱく質の中で最も詳しく研究されているのは酵素である。生体内の化学反応を円滑・迅速に触媒するのが酵素である。酵素の種類は非常に多い。
次に種類の多いのは生体を構築する構造たんぱく質である。たんぱく質はさらに種々の働きを示す。インシュリンのようなホルモン、ヘモグロビンのような運搬たんぱく質、免疫たんぱく質、外界の刺激に対応するレセプターたんぱく質などである。
地球上の生物を作るたんぱく質の種類は途方もないほど膨大な数になろう。(省略)しかしどんなたんぱく質もわずか20種類のアミノ酸よりなる。
ちょっと話題を変えよう。
1995年、重要な文献が世に出た。1970年代から存在は知られていたが、その機能が解らなかった物質アミンだ。文献のタイトルは、「ポリアミンを食事から摂取することの重要性(The importance of dietary polyamines in cell regeneration and growth, Suzan Bardocz )」という。
著者バルドックスはイギリスの女性で、論文の趣旨は、ポリアミンは従来必要に応じて体内で作られると考えられてきたが、種々情報が出てきて、食事からも摂取することができて、食事からのポリアミン摂取が重要であるとするものである。
ところで、ポリアミンについてちょっと説明しよう。アミンとは、アンモニアの水素原子を炭化水素基で置換した化合物の総称である。アミンから水素を除去した1価の官能基(-NH2,-NHR,-NRR’)をアミノ基という。ポリアミンは、アミノ基が、3つ以上結合した直鎖脂肪族炭化水素の総称である。
ややっこしいけれど見ればすぐ判る。
プトレッシン(C4H12N2) PUT
ちょっと見ていただきたいところは、水平の台に収まり、一定の方向へ一直線に伸びる美しい構造であることである。アミン基は2個存在する。
図で、黒は炭素、白は水素、青は窒素である。
スペルミジン(C7H19N3)SPD
PUTとの違いは、Cが3個、Hが7個、Nが1個である。
これも水平の台に収まり、一定の方向へ一直線に伸びる美しい構造である。アミン基は3個存在する。
ヒトの体内には20種類以上のポリアミンが含まれるといわれるが、主なものは、上の2個とスペルミンである。
スペルミン(C10H26N3)SPM
SPDとの違いは、Cが3個、Hが7個、Nが1個である。モデルは作らなかったが容易に類推できるように、
これも水平の台に収まり、一定の方向へ一直線に伸びる美しい構造になる。
こんな美しい化合物があること自体が重要であると思った。
(2012-10-29Yoshi)

