
インドネシア・ボンタンLNG液化基地の最新の写真を見つけた。
ボルネオ島は赤道直下の島だ。島を赤道が横切っている。ボルネオ島を赤道が横切る東海岸がボンタンだ。日本向けにLNGを輸出する基地の中で最大のものだ。ヘリコプターで近づくと大きな5個のタンクが目につき、左上方の液化プラントは小さく見える。ひと際大きいタンクが見えるが、13万トンタンクだ、
1982年当時世界最大のタンクであった。下に見えるLNGタンカーの船幅がおよそ50mだから、タンクの大きさが解るだろう。当時アメリカのエンジニアリング会社でこのプロジェクトのプロジェクト・エンジニアをしており、このタンクと写真に写ってはいないが、左方の設置されたフレアスタックを含むオフサイトを担当していた。
写真を見て懐かしさひとしおであった。でも話はLNGプラントではなく、基地の周りの環境の話だ。
先週ビッグサイトの展示会で、インドネシアから来た女性に会い、ボンタン基地の話になった。1982年当時、基地の外側には肥料プラントが1基あり、北側15キロほど離れた港からは、ラワン木材が輸出されていた。
ところが、最近の話を聞いて驚いた。
Yoshiが建設に携わったのは2期工事であったが、1期工事のとき、この当たりはマングローブ林で、フェンスの外側まで時々オランウータンがやってきたということだった。
あれから30年、女性の話では、1982年以降、多くの工場がやってきて、やがて潰れた。次にやってきたのは、ヤシ油の林だった。今朝も我が家では、ヤシ油を原料とした食器洗い洗剤を使っているが、ボンタンの周りの熱帯雨林がヤシの木畑になったとは知らなかった。
さらなる驚きは、ヤシ油林の地下から石炭が出てきたとのことだった。露天掘りの炭田が掘り起こされ、当たり一面、穴だらけになり、全ての石炭は採掘されたということだった。
そして今、雨が降ると、露天掘りの穴に雨水がたまり、当たりはぬかるみ。どうにもこうにもならないそうだ。
上の写真の大きなタンクはマイベイビーだと言ったら、ユアベイビーが泣いているよと彼女は言っていた。
熱帯林を破壊し、島も破壊し、そして今海まで汚染しようとしている。この地球で一番邪魔な動物は人間であるとは思いたくないが、どうすれば良いのだろうと嘆くしかない。残念。
(2012-10-21
Yoshi)