微細藻の脂質について論じたが、タンパク質、炭水化物はどうだろう。

再度微細藻を調べよう。


Yoshiのブログ

上図は藍藻の模式図である。単細胞植物で水中に浮遊して生息する。この図は、単細胞植物がいかだの様に連なっているものの先頭部分である。一つの細胞の中に、藍藻が生きるための全ての機能を備えている。二重の細胞壁(CW)と細胞膜(CM)で囲われ、水中に浮遊し、細胞壁から水中の栄養素を取り込み光合成を行う。鞘(S)という構造が細胞壁を取り巻いている。細胞の内側にあるこれも二重膜構造のチラコイド(T)が藍藻の光合成・呼吸をつかさどる。チコライドの表面にはフィコビリゾーム(PBS)が顆粒構造をとって付着している。中心付近には細い糸状の構造が折りたたまれたように見える核様体(N)がある。これは、DNAとタンパク質からなり、付近にタンパク質合成の場となるリポゾーム(R)がある。その他藍藻の貯蔵物質である脂肪粒(L),カルボキシゾーム(CB),シアノフィシン粒(CG)がある。

上記に示す其々が、脂質・タンパク質・炭水化物のいずれに属するか仕分けしてみる。


脂質:細胞壁(CW)、細胞膜(CM)、脂肪粒(L

タンパク質:チラコイド(T)、フィコビリゾーム(PBS)、核様体(N)、リポゾーム  (R)、シアノフィシン粒(CG)

炭水化物:鞘(S)、カルボキシゾーム(CB)

我々は栄養塩として糖質、タンパク質、脂質を摂取するが、それには2つの大きな目的があり、1つは代謝を通じてエネルギーを作ることで、もう1つは細胞すなわち生体膜の成分となることである。(生体膜に学ぶ)

パーソンズ(海の微生物より)らは、微細藻の組成を分析したが、珪藻類ではケイ酸塩質の殻のため灰分が多いが、緑藻類や黄色鞭毛藻ではタンパク質が主要な成分になっている。光合成の始めの主な生成物は3-リン-グリセリン酸であるが、これを経由して色々な炭水化物が作られる。


炭水化物はタンパク質についで重要な有機物で珪藻のキートセロスやコシノディスカスには少ないが、それを除き、15-37%も含まれている。脂質はこれらに比べると少ないが、渦鞭毛藻のアンフザニウムやエクスピエラなどは、それぞれ18%,15%もあり、動物プランクトンのエネルギー源として役立ちそうである。

こうして見ると、微細藻の組成はどのようにして決まるか難しい話だ。食物連鎖か、窒素バランスか、微細藻側の要求か、自然界の要求か、これらのどれも理屈で説明付けできそうもない。自然の色々な条件の組み合わせで、何万種もの微細藻ができ、自然の淘汰で生き残ったものが現在の姿と言うことか、その中に生産性が高いなどは有力な条件だと考える。窒素固定ができるものなども有力な条件の一つだと考える。過酷な条件の下で生き残るものなども重要だろう。

(2012-9-5 Yoshi)