微細藻について縷々述べてきた。ここで微細藻開発の流れを振り返って見よう。
1930年代、カリフォルニア大のオズワルド先生の手で最初の微細藻による排水処理
プラントが建設された、
次が健康食品プラントだ。
1950年代、緑藻クロレラの屋外大規模培養設備が日本にできた。
1960年代は、藍藻シピルリナだ。メキシコの野池での生産だ。
1970年代、緑藻ドナリエラがイスラエルで、
1990年代、ハワイ州コナで緑藻ヘマトコッカスの生産が軌道に乗った。
この間、1973年から米国太陽エネルギー研究所(SERI)で始まったバイオジーゼルの研究は、
1998年に、区切りの報告書を出したが、
アメリカの研究を引き継ぐような形で1994年スタートした日本のRITE(地球環境産業技 術研究機) の微細藻類利用二酸化炭素固定化・有効利用は2000年に不成功のまま幕を閉じた。
一方私企業は1990年から1997年に掛けて、つぎの研究を実施した。最初の2つは、本ブログで報告、残りは別途研究報告にて報告しているが、いくつかの新しい発見があった。
東北電力/三菱重工共同研究 テトラセルミスによる固体燃料の生産、 1年間の実ガス試験に成功
関西電力/三菱重工共同研究 クラミドモナスによる水素の生産
1か月の水素発生試験に成功
東京電力/三菱重工共同研究 液体燃料の生産と培養設備開発
直近の10年は、日本における微細微の研究は低調で、
僅かに海産珪藻を餌とする二枚貝生産が技術は確立したものの企業としての大規模化に失敗している。そんな中でここ数年米国を中心にバイオジーゼルの研究が脚光を浴びているのはご承知の通りである。
以上を通じてご覧のように、微細藻は有用と思われるが研究開始から100年に及ぶ研究を経て、生産が可能な微細藻種も5種類を数えるにとどまり、生物の長い歴史を思いやるとき今なお開発途上の技術といえるが、食料としての利用など今後重要になるのは間違いないと思っている。
(2012-8-22 Yoshi)