ニュージランドは、農業と牧畜が主要産業である点で日本と似たところが多い。農業・牧畜の廃棄物の窒素・リンが環境汚染を齎しているところも一つの類似点である。NIWA(National Institute of Water and Atmosphere)が環境問題を受け持っている。
微細藻に多くの関心を抱いている所が日本と異なっている。
炭酸ガス問題も大きな関心であるのはニュージランドも同じであるが、微細藻の研究に際し、国を環境条件の異なる南北4地区に区分し、NIWA HRAP(High Rate Algae Pond)を設置している。
目的は、海洋への窒素放出量の削減で、微細藻を作り、窒素排出を削減し、傍ら微細藻作成に炭酸ガスを使用し、炭酸ガス削減を行っている。
生産した微細藻は、バイオガス、バイオ原油、バイオジーゼル、バイオエタノールなどであるが、副産物として、肥料・餌料・機能油を製造する。
設備を見てみよう。
上段は上から見たところ、下段は立面図である。
上段左より、メタン発酵槽、HRAP、微細藻沈降槽、調整池である。メタン発酵槽でメタンガスを作り、
次いで、HRAPで窒素・リンを除去し微細藻とし、清水を送り出す。この方式をスタンダードとし、ニュージランドに広げていく戦略である。
ニュージランドは土地が広いなどの議論もあろうが、それは必ずしも正しく無い。日本は、現在300万ヘクタールの水田があるが、内100万ヘクタールが休耕田となっており土地は十分あると言える。
写真で見ると次のようだ。日本でも微細藻利用の機会があると確信する。
日本の水田は、小さな村でも、貴重な水源を水が村すべてに行き渡る
ように工夫され、使用済みの排水は浄水と混ざらないように工夫された
世界に誇る上下水道完備の水有効利用のインフラである。この設備は
そのまま微細藻にも利用できるもので、今後ますます重要になると思うの
だが、話しをしてもパイロットプラント一つを作るのも容易でない。
どうすればよいか悩むところである。
時間をかけて議論したいものだ。
(2012-6-6 Yoshi)