サウスカロライナ州クレムソン大学のブルーン教授の研究はユニークなものだ。アメリカ南部には60,000ヘクタールに及ぶナマズ養殖池があるそうだ。ここで養殖されるナマズは日本のそれとは異なるアメリカナマズで清流に住んでいる。ニューオールリンズなどでシーフードバーガーを食べると出てくる魚のフライの原料だ。とてもおいしい。ところで、このナマズが日本にも沢山輸入されていることはご存じだろうか。白身で癖が無くおいしいので、回転すしなどで、姿を変えて出てくることもあるらしい。


このナマズ養殖には、養殖用餌料を使うが、問題は食べ残した餌のため、池に沢山の微細藻が発生し、ナマズの鰓に付いてナマズが呼吸困難になる。微細藻除去が重要となる。通常は微細藻が増えると、水を抜いて掃除することになる。

ブルーン教授の研究は、PAS(Paertitioned Aquqculture System)と名付けられている。仕切りのある魚類養殖システムである。


Yoshiのブログ-PAS

前置きが長くなった。システムの説明から始めよう。水路の中に、隔離して、ナマズ池とテラピア池とを直列に配置し、ナマズ養殖の余剰餌料を微細藻で回収し、これを餌として稙物食性のテラピアを養殖する。PASは余剰餌料による水質汚染を無くする傍らテラピアを副生し、きれいな水で、ナマズ養殖の効率向上も同時に達成するものである。2004年に教授にお会いした時、すでに8年間の試験運転をされていたから、現在まで15年以上も研究を続けられている。従来法に対し2倍の生産効率だそうである。

テラピアはイズミ鯛ともいわれ刺身にして美味しい魚である。
Yoshiのブログ-テラピア

教授のシステムの本格稼働が近い。2007年頃から、バイオジーゼルの見直しが大きく議論される中で、微細藻のプロジェクトが再評価されている。ブルーン教授のシステムも然りである。


Yoshiのブログ-Salton

サンディエゴを西に進むと、車で2時間ほどでSALTON SEAに到達する。このあたりまで来ると異様な臭気がある。濃度の高い塩水湖で湖岸に大量の死んだ魚がいたりする。

カリフォルニアの農業地帯からこの湖水には年間およそ1万トンの窒素が入り込む。冨栄養化の極致である。この地に今多数の微細藻プロジェクトが起きている。(上写真左下2009年バイオマスサミット資料より抜粋)

プロジェクトの一つにブルーン教授のCEP(Controlled Eutrophication Process 冨栄養化対策プロセス)がある。

プロセスを模式化したものを次図に示す。
Yoshiのブログ-モデル

ソルトン湖から窒素を含む塩水を取り込み(上図左上)レースウエイで微細藻を栽培する。次いで排水を一次養殖(テラピア)池に引き込み微細藻を餌にテラピアを養殖し微細藻を除去する。別途二次養殖(ナマズ)池でナマズを養殖する傍らバイオマスを収穫する。浄化された海水はソルトン湖に循環する。




Yoshiのブログ-ソルトン湖


建設中の二つのパイロットプラントは2010年の姿で現在研究開発が進んでいる。

(2012-3-29 Yoshi)