タンパク質は空から?

まだ窒素固定に拘っています。

窒素固定の定義は、大気中の窒素からアンモニアを作ることです。

調べてみると、地球上で窒素固定出来るのは、原核生物だけです。バクテリアと藍藻のみにできること。

単独でできるもの,共生によるものの2種類です。マメ科稙物は根粒菌との共生で窒素固定します。海では藍藻が主役に見える。バクテリアは、炭素源を外から持ってくる必要があるから、自己完成型は藍藻だ。藍藻の窒素固定に深く関わる酵素(ニトロゲナーゼ)は、2つの鉄硫黄タンパク質とモリブデンを含むが、鉄・モリブデンとも海水中に微量に含まれていることと無縁ではあるまい。

タンパク質生産の主役は、ますます、陸上ではマメ科稙物、海では藍藻と渦鞭毛藻と、それらを餌とするイワシや貝類であると思えてくる。


窒素固定藍藻の話しに戻ろう。全てのタンパク質は、最初は空から来たらしい。その後の補給も突き詰めれば、空からだけれど、空気中の窒素が雷の際、アンモニアになるのは全体の10%だから、残りの90%は、海と陸地、地上のものは、マメ科種。海のものは、藍藻由来と藍藻との共生だ。藍藻由来の窒素固定がかなりの割合を占めることは間違いないと思う。

窒素固定藍藻がどうやってタンパク質を作るか調べてみよう。


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上の図は窒素固定藍藻である。

先に、アカウキクサ(Azolla)が窒素固定藍藻と共生していると書いたが、この藍藻(アナベナ)は単独でも生きることができる。上の図で、小さな丸で示したものは、増殖細胞(Vegatable Cell)で、途中やや大きな丸で示したヘテロシスト(異形質細胞)が窒素固定のために設けられた特殊な細胞である。アナベナは元々は単細胞稙物であるが、藍藻の中にはこの様に、異形質細胞の有無に関わらず、相互に何らかの情報を出して筏の様に繋がっているものがある。

(Fertilizer Production with Nitrogen-Fixing Heterocyst Blue-Green Algae: J.R.Benemann, 1977より)

上図で黄色の部分は増殖細胞、中央部分がヘテロシストである。

増殖細胞は、ヘテロシストに光合成産物を提供し、逆にヘテロシストは増殖細胞に窒素固定産物を提供する。アカウキクサが藍藻との共生で手に入れていたものをここでは、増殖細胞とヘテロシストとの分業で相互に提供している。

ヘテロシストの役割は還元状態を作り出すことである。光合成反応は酸素を発生するので、窒素を還元する酵素(ニトロゲナゼ)の活性を低下させる。活性低下を防ぐため異空間を創設したのである。このモデルでは還元剤はNADPHとフェレドキシンとしている。光合成の際生成される水素も還元剤として利用される。全細胞の5-7%がヘテロシストである。

(2012-1-12 Yoshi)



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