地中海パラドックスの最新情報
地中海パラドックスってご存知だろうか?
事の起こりは、1940年にアメリカの研究者(Ancel Keys)が、南イタリー、クレタ島(ギリシャ)では心臓病のよる死亡率がアメリカなどに比べて極端に低いことに気付き、この地方の食生活(地中海ダイエット)を長期にわたって調査したことによる。
クレタ島(上の地図でギリシャ本土の南の島)の標準的な食餌は、食後に新鮮な果物を沢山摂取し、脂質はオリーブ油、チーズとヨーグルトを多食、魚と乳製品は中程度、鶏卵は週4個以下、赤い肉な殆ど食べない。ワインは程々で、カロリーの25-35%は脂質から摂取するなど。
この食餌の基本的原則は、
高消費:オリーブ油、マメ科植物、野菜、精白しない穀類、果実
中~高消費:魚
中消費:乳製品、ワイン
低消費:肉および肉製品
である。
1960年になって、この研究は世界的な広がりに移行し、7ヶ国研究(Seven Countries Study)となり
世界の4地域(アメリカ、北欧、南欧、日本)で、合計12,763人のチームによって今日まで継続調査されることになり。多数の論文につながった。
(Wikipedia Mediterranean diet)
検討結果を 一言で述べるのは難しいが敢えて言えば、「クレタ島の人たちは、かなり脂肪を摂取するにも関わらず、例外的に心臓病による死亡率が低い。彼らの食餌は、他の地中海沿岸の人達の食餌とよく似ているが、その内容は、オリーブ油と、パンと、たくさんの果物と野菜、魚である。乳製品はあまり摂取せず、ワインもあまり飲まない。」
Yoshiのつぶやき
スペインのアルメニヤを訪れた時、会議に疲れて、昼どき海岸を散歩していたら、心に響く匂いがして来た。見ると、裸で背中を干す美女(?)の傍らで、海岸に大きめの屋台が並び、オリーブ油をちょっと振りかけて丸ごとマイワシを焼いている。それから、昼は数日続けて、生ビールに焼き立ての大きめのマイワシとなったのは言うまでもない。地中海が、ズーット身近になった一時であった。
地中海パラドックスと並んで、フレンチパラドックスやら、日本パラドックスやらあるが、フレンチパラドックスは上の説明にも有るように、 乳製品はあまり摂取せず、ワインも飲み過ぎないと変っている。2000年にWHO(世界保健機構)はワインを毎日グラス3杯以上飲まないよう指導しています。
一方日本の長寿は統計が示す通りでこの点で疑義はない。”なぜ?” という点で、議論の余地があるが、お茶、大豆発酵食品、漬物、魚を多食など、可能性を持つものは多い。
魚を沢山たべるのが健康に良いという点では、異論はないようである。
イワシにDHA/EPAが沢山含まれることは皆さんご承知の通りだが、イワシのDHA/EPAは餌の珪藻から来ていることはご承知の通りである。広い海でイワシは珪藻を食べているのである。
地中海パラドックスと日本パラドックスの共通点としてマメ科植物に大きな関心を持っている。先に、ヘドロの話しで、地球上の窒素バランスの話しをしました。地球の生物は炭素、水素、酸素から構成される。窒素は少量ではあるが大変重要である。窒素は空気中に沢山あるが反応性に乏しく、簡単には利用できない。けれども、タンパク質、中でも生命の根源であるDNAに深く関わっているという話しだった。植物は肥料として窒素を取り込むが、1899年Carl Boschが化学肥料の合成に成功した時から地球上の窒素バランスが少しづつ狂ってきた。ところで、かって地球上の窒素バランスは、生物によって制御されてきた。藍藻が最初に窒素も固定した。藍藻からはるか遅れて地上に植物が出てきた時、マメ科植物に共生した根粒菌(Rhizobium)が大気中の窒素を固定した。藍藻と植物と細菌が窒素を中心につながりました。この問題はこの先も追及していきたいと思う。
ここまで来て、ちょっと間をおいて考えて気がついた。言いたかったことは、次の3つである。
1. 珪藻は窒素と珪素を使って、陸と海の橋渡しをする重要な役割を担っている。
2. 日本人が死に至る3大病は、心筋梗塞、脳卒中、がんである。前の2つは、血液に関係する病であるが、珪藻は、それ自体及び魚介類を経由して、血液をサラサラにする。これは、地中海パラドッククス、日本パラドックスに共通した良い食習慣である。
3. 日本人への自然からの警告は、過去、日本パラドックスで重要な役割を担ってきた、珪藻・魚介類の棲みかの河川・湖沼・海を皆でもっと大切にしたらどうか。
(2011-12-9 Yoshi)
