自然の海で珪藻は?


J.Martinのこと

DISCOVER誌でJohn”EARTH ON ICE”と題して、”私に船1杯の鉄をくれたら、太平洋で炭酸ガス問題を解決してみせる。と言ったのは1991年のことだった。さっそくMoss LandingMartinを訪ねた。


Yoshiのブログ-J.Martin

彼は、ポリオを患い、車いすであまり元気とは見えなかったが、日本からの客に親切に対応してくれた。

北極海は春先植物プランクトンのブルームで、植物、魚、動物すべてが賑わうが、南極海には植物プランクトンのブルームが無い。北極海には流れ込む川があるが、南極大陸は凍てついて流れ込む川が無い。理由はプランクトンに必要なミネラルのせいだと考え海水の分析を始めた。彼は微量分析の専門家だとの事だ。いくら分析しても、南極・北極の海水成分に違いはない。考えあぐねた末の結論は鉄分であった。植物プランクトンの葉緑素の微量分析をして、C, N, P ,Fe原子の比率を調べて理由が判った。


C NPFe = 10,000
1,5001001

つまり、植物プランクトン中の鉄1原子につき、炭素原子10,000個、窒素原子1,500個、リン100が対応すると言うのである。鉄が必要なのだが、その量は炭素10,000原子に対し、鉄1原子とあまりにも少量なので、これまで分析できなかった。分析の際、容器のガラスなどに含まれる鉄が珪藻に必要な鉄よりも多く、分析できなかったということだった。例えば、日本の海などでは、この程度の鉄はいたるところにある河川から流入するので、学者だって誰一人、鉄が律速(制約条件)だったとは考えなかったところ、微量分析が専門のMartinが気付いた訳である。その後米国でThe National Research Council2つのワーキショップを開き、The American Society of Limnology and Oceanographyがシンポジウムを開き太平洋に鉄を撒く研究を始めた。1993年に日本でも、シンポジウムが開かれることになりお会いできるのを楽しみにしていた。残念なのは、Moss Landingを訪問させて頂いた時もそう健康とは見えなかった先生が訪日を待たずお亡くなりになったことだ。


この話しには後日談がある。

Martinが亡くなってから3ヶ月たって、一艘の船がアメリカ西海岸からガラパゴス島に向かって出航した。

Martinの遺志を受けて米国の研究者が動き出したのである。米国の研究者に敬意を表すると同時に心が熱くなったものだ。


下図(http://palomar.edu./oceanography/iron、2011年2 月より)に最新の研究成果が示されている。


Yoshiのブログ-I.Fertilizing


1993年より、図で赤丸で示された12の地点で小規模試験が実施され、鉄を供給することでプランクトンのブルームが観測されている。

(2011-11-14 Yoshi)