汽水域
内湾性のシナハマグリ(Meretrix)は汽水性である。フロリダのハマグリも同様である。彼らは淡水域・淡水域の両水域にすむ。どちらかと言うと海水域の方を好むようで、何日も淡水域に放置すると、殻を閉じてじっとしている。ちなみに買ってきたハマグリは冷蔵庫の中で1週間ぐらいは生きている。殻を閉じてじっとしているのだ。
Joeはベロビーチで、珪藻を餌にハマグリの生産を始めた。
上の地図を見て欲しい。右側に拡大図を示す。ベロビーチは岸に沿って、数km離れて細長い島がある。
ところどころ離れているが、よく見るとジョージア州まで500km以上も続いている。広い所で5km以上もある数百kmの川の様なものである。ベロビーチ付近でこの川をインディアンリバーという。
ペリカンの棲むインディアンリバー
陸から淡水が入り、海側の所どころから海水の入るインディアンリバーは格好の汽水域である。汽水域は動物・植物にとって格好の棲みかで、淡水・海水、両水域の動植物が棲む格好の場所となる。
Joeは、雌雄の親貝を飼育して、卵を産ませ、活発に動き回る浮遊性の幼生を1週間かけて着底させ、
餌の珪藻シリンダと幼生タンク
幼生がタンクの中を泳ぎまわる
一ヶ月かけて10mm稚貝にまで育てて、近隣の漁師に売る。
誰だと思う?
インディアンリバーの水深1.5mほどの所でネットに入った稚貝は1年掛けて収穫され市場に出る。汽水域のインディアンリバーは薄いクリーム色で口に入れても甘く心地よい。マナティーが棲む海でもある。現地でヒトは、ハマグリを生で食べることはしないから、日本人が来て生で食べると皆びっくりする。日本人自体がハマグリは生がうまいと知る瞬間でもある。
日本でハマグリ事業が広がらない理由は色々あると思うが、最大の問題はインディアンリバーの様な肥沃な汽水域を失ったことだと思う。
ハマグリが成熟するまでには数年かかる。珪藻はそれだけでハマグリを成熟させるに十分な餌であるが、陸上で数年飼育するのはいかにも大変である。フロリダのような栽培方法がハマグリ復活の切り札だと思う。日本でのハマグリ復活もここ数年が最後のチャンスかも知れない。
(2011-11-7 Yoshi)