クロレラの大量培養
運転がうまく行く条件は、装置内に不純物が蓄積しないこと、目的とする微細藻のみが育ち、目的とする濃度になるまで運転継続可能なことである。培養槽の中は、微細藻と、望まない微細藻と、および微細藻を捕食する動物プランクトンとの競争の場である。通常培養槽がある場所の外環境は、風に乗って、望まない微細藻や、動物プランクトンなどが沢山居るところである。クロレラの場合、運転がうまく行くための工夫は、次の運転ステップにある。つまり、
屋内フラスコ培養 ⇒ 屋外種株培養 ⇒ 生産プール培養 ⇒収穫
である。クロレラの培養は、従属栄養回分培養で、前半の屋内培養を清浄な環境で行い、屋外生産プール培養を短くして不純物の蓄積と動物プランクトンなどの侵入を減らし、さらに生産プールに入る所でクロレラ濃度を上げて所定のクロレラ条件達成を可能にするものである。
下の写真は生産プールである(クロレラ工業会社概要より)。
生産プールに動物プランクトンが入るとクロレラを捕食する。水槽の水流は、細胞壁のある微細藻に有利で、ぶよぶよした動物プランクトンに不利だから、動物は死んで、植物が残る。円形だから、中心部では動物が強いかもしれない。死んだ動物プランクトンは沈み、不純物となる。
他の微細藻が入ると競争して増殖を始める。古来水田で雑草に苦しめられたと同じ現象が起きる。初期濃度の調整に運転員が苦しむところだ。
反応物の入り口濃度(CIN)と出口濃度(COUT)の関係は、滞留時間(Ө)
とすると、次の近似が妥当だと思う。
COUT/CIN = 1/[1+k(Ө/2) 2 k は1次反応の定数
(2011-10-27 Yoshi)
