上図のような池が吾輩の住まいと思って頂きたい。細長い楕円形の中央に仕切りがあり、パドルフォイールで流れができている。くるくる回っている訳だ。海水と栄養塩と炭酸ガスが補給される。吾輩は誰もいないところに放り込まれた。始めは慣れない環境に戸惑ったが、考えてみてば、太陽光に恵まれ、栄養塩もあるから、気が付けば分裂し、周りに同じ格好の微細藻がどんどん増えてきた。始めは一群となって流れていたが、だんだんバラバラになってきた。池の中はと言うと、壁の近くは流れが遅く、中央は流れが速い。仲間が沢山いるところは栄養塩が消費され少なくなるし。仲間内で大きいもの、小さいもの、色々のものが出てきた。
先のライフサイクルの生長・成熟・後成熟・細胞分裂が至るところで起こっている。1周して元に戻るころには、周りを見れば、大きいもの、小さいものバラバラだ。
仲間に上の図のような透明の管の下に放り込まれた奴が居る。1本の管に下から入り上からでる。同期に生まれた仲間が下から順序良く送り込まれると、細い管の中では同じ程度に成熟した仲間が集まり、出ていくときも同じ状態だ。管の途中のある場所では、それぞれ生長・成熟・後成熟・細胞分裂がかたまって存在する。
化学工業用の反応器や、発酵槽などで、攪拌機を備えた槽では、原料が反応器に入ると、槽内で直ちに完全に混合され均一になり、反応物の入り口濃度(CIN)と出口濃(COUT)の関係は、滞留時間(Ө)とすると、下式になる。
COUT/CIN = 1/(1+kӨ) k は1次反応の定数
縦型管式培養器では反応の途中で混合のないピストンフローに近く、反応物の入り口濃度(CIN)と出口濃度(COUT)の関係は、滞留時間(Ө)とすると、下式になる。
COUT/CIN = e-kӨ k は1次反応の定数
実際には、微細藻の商業生産で、レースウエイ、管式(Tubular)の両方の培養器が用いられている。
上がレースウエイ、下が管式である。
吾輩の解析によると、レースウエイは、実際には完全混合とピストンフローの間で、管式は実際にもピストンフローで近似できる。
レースウエイの近似式は以下の通りである。
COUT/CIN = 1/[1+k(Ө/3) ]3 k は1次反応の定数
(2011/10/20 Yoshi)