上図(ラン藻という生きもの:東京大学出版より)は藍藻の模式図である。単細胞植物で水中に浮遊して生息する。この図は、単細胞植物がいかだの様に連なっているものの先頭部分である。単細胞で生きているのが通常である。一つの細胞の中に、藍藻が生きるための全ての機能を備えている。二重の細胞壁(CW)と細胞膜(CM)で囲われ、水中に浮遊し、細胞壁から水中の栄養素を取り込み光合成を行う。鞘(S)という構造が細胞壁を取り巻いている。細胞の内側にあるこれも二十膜構造のチラコイド(T)が藍藻の光合成・呼吸をつかさどる。チコライドの表面にはフィコビリゾーム(PBS)が顆粒構造をとって付着している。中心付近には細い糸状の構造が折りたたまれたように見える核様体(N)がある。これは、DNAとタンパク質からなり、付近にタンパク質合成の場となるリポゾーム(R)ある。その他藍藻の貯蔵物質である脂肪粒(L),カルボキシゾーム(CB),シアノフィシン粒(CG)がある。
光合成は炭酸ガスと水からデンプンを作る反応で、下式で表わされる。
CO2 + H2O → (CH2O) + O2
一つの細胞の中に、全ての機能を持ち、太古の海で光合成する藍藻は、最高性能の超小型光合成反応器(MicroPhotoBioReactor)である。
細胞内に核を持たない藍藻は、原核生物に属し、光合成のための色素には、フィコシアニンが用いられる。
上の式に見られるように光合成は炭酸ガスを還元しでデンプンを作る反応であるが、光エネルギーの集光にフィコシアノピリンを用いる。後述の葉緑素のポルフィリン環が開環したテトラピロール色素である。
上図はクロレラの電子顕微鏡写真とクロレラのライフスタイルを示す。(クロレラ工業社会社概要より)クロレラは真核植物単細胞緑藻である。真核植物は6億年前カンブリア紀の始めに出現した。藍藻の出現から21億年の時間が経過した。この間の環境の変化は、空気中に酸素が増え、オゾン層も形成された。この間、炭酸ガス濃度、気温はあまり変化していない。藍藻との違いは,核があること、ミトコンドリアがあることである。ミトコンドリアは好気性細菌でそれ自体がDNAを持つ。酸素ができて、自身が細菌として活動していたところ、真核細胞に取り込まれ好気性条件下でATPの生産を司っている。
クロレラのライフスタイルに微細藻の増殖を見ることができる。単細胞のクロレラは、成長し成熟する。ここで細胞は2個に分裂し、さらに4個に分裂して、それぞれ独立した4個のクロレラとなる。成長過程と分裂過程で、外的条件と細胞自体の生理との関係がどう関わるかは必ずしも解明されていないが、微細藻の培養にとって重要なことである。
上図はクロロフィル(葉緑素)である。クロロフィルのポルフィリン環が開くとフィコシアノピリンと同じ構造になるのがお判りのことだろう。(2011-10-10 Yoshi)