カンヌ映画祭パルム・ドール受賞の「さらば、わが愛/覇王別姫」を4K版で久々に鑑賞
1993年のカンヌ映画祭で作品賞であるパルム・ドールを受賞した、チェン・カイ
コー(陳凱歌)監督の「さらば、わが愛/覇王別姫」が4K映像化され7月28日か
ら劇場公開中です。私にとってはこの映画で、それまでに既に香港のアイドルと認識
していて出演作品も何本も観ていたけどほとんど興味の無かったレスリー・チャン
(張國榮)というスターに片足を突っ込んでしまったという思い出深い作品(その後
「金枝玉葉/君さえいれば」で完落ちし、ずぶずぶに嵌って人生変わってしまったの
は言うまでもない。)早速初日にシネ・リーブル神戸で鑑賞して来ました。
日中戦争前後の時代の京劇の世界を舞台にした作品で、これまでに何度も観てはいた
のですが、さすがに4K映像は京劇の舞台衣装などの色鮮やかさが増し30年前の作
品でも古臭さを全く感じさせませんでした。京劇の育成学校で厳しい訓練を受けて育
った二人の少年が大人になり最高の男女役コンビとなり名声を得ていくのですが、
そこに絡む一人の女性との愛憎、そして激動の中国近代史の止められない流れの中で
伝統的な京劇が貶められていくのを止める事ができない哀しさも描かれています。
私の中では「切なく哀しい愛の物語」としての記憶が強かったのですが今回改めて劇
場観賞して、近代中国が経験した極端なまでの時代の流れが強烈に印象に残りました。
清朝が崩壊してから今の中国が出来上がるまでにどういう悲惨な過程を経たかは歴史
に興味がある人ならご存知とは思いますが、その中で起こっていた出来事に主人公達
の愛憎劇を上手く絡めたこの作品は本当に多くの人に観ていただきたい、観る価値の
充分ある作品だと改めて感じました。
レスリー・チャンの美しい女形姿と叶わぬ愛に苦しむ演技はもちろんですが、彼の愛
する相棒の妻となる女性を演じたコン・リー(鞏俐→中国の名女優)や子役達の名演
技に中国の役者さん達のレベルの高さを改めて感じました。(中国ってちゃんとした
演劇学校で学び一定のレベルをクリアしないと映画やドラマに出られないらしい。)
レスリーが亡くなってもう20年、個人的にはその悲しみを乗り越えるのに長い長い
時間が必要でした。でも彼の姿は今でもたくさん映像に残っていて、こうやってまた
劇場公開もされる、それはとても嬉しい事です。彼は生まれ変わってもやっぱりエン
ターテイメントの世界に身を置くのだろうと何となく感じてます。
そして私もやはり彼を好きになるんだろうな。
「我永遠愛イ尓、哥哥」
※来場者プレゼントかな?映画館で作品の画像のミニ団扇をもらいました(^^)。
予告映像のリンクは↓