その4 の続き。入院生活初期。

平和な暮らしをしていると過去のことなんてすぐに忘れそうになる。

術後の記憶が曖昧になっているため、矛盾点があるかもしれない。


手術後数時間でうがいと水飲み許可が出る。

痛みは胸部、頸部両方にあるが、喉のイガイガ感、違和感が一番気になる。

痰を出すように言われるがなかなか難しい。


翌日に尿カテ抜去。看護師は女性だが、恥ずかしいことに変わりはない。

トイレは大部屋内にあるので、すぐの距離だが、

行く時は抱きかかえられるように起き上がらせてもらう。


執刀医二名が外来の間を縫って往診的に様子を見に来てくださる。

胸腺腫だったこと、胸腺を全て除去したこと、

肋骨をいくつか切って胸部を開いていることを聞く。


ダンナ曰く、術後に見せてもらった頸部の腫瘍は

5歳の息子の握り拳ほどはあったということだった。

そりゃ、気道も曲がるわぁ、と妙な納得をする。

ワタシも見たい!とお願いすると、

組織検査に回してしまったけど、今度写真あげるよ、と。


胸骨はワイヤでつないでいるので、骨折と同じだということ、

起きるときの力の加減で結合部が歪むので

手を使わず電動ベッドを利用するという指導があった。


生活面での細かい点を聞くが、お互いの専門領域以外の部分は曖昧で、

「うーん○○先生に聞いてみて」と(苦笑)。

珍しい部分に腫瘍があったということは分かった。


麻酔の点滴のせいか、とにかく眠くてだるくて、一日ほとんど眠っていた。

手術翌日と翌々日に、接合骨部分の確認のためにX線撮影を受ける。

翌日は車いすで移動、翌々日はたしか頸部のドレーンも抜けて歩いて行かれた、と思う。



胸部の痛みはオピオイド系薬剤の点滴があったためそれほどではなかった。

しかし頸部の違和感が大きかった。

ぐいっと拳を押し込まれるような鈍痛と、しびれるような違和感。


鈍痛は腫瘍のあった辺りであることから、腫瘍のせいで圧迫されていた組織が

元に戻るようにずるずる動くんじゃない?と言われる。想像すると結構グロイもんだ。

しびれはたぶん、手術でどっか神経を引っ搔いたんじゃないかな、と勝手に想像した。


動いていないせいか、翌々日から夜よく眠れない。

寝ようとすると足元に違和感があり、足元からイライラが上がってくる感じ。

虫が這いずるというか、嫌な感じがある。

麻酔の副作用か?


医師に尋ねるが、原因は不明と。

もしやこれがムズムズ足症候群というものか?

血液検査の結果からも、貧血もなく原因は結局わからない。

眠剤をもらっておとなしくしていることにした。


術後の縫い目の部分は、まだ抜糸もしておらずいかにも縫い目という感じで、見た目に怖い。

見まいに来た旦那も落ち着かず目が泳いでいる感じ。

一度間近で見て貧血を起こしそうになっていた。

相当腰が引けた様子の旦那を見て、今後の夫婦生活に漠然とした不安を覚える。



食事は最初は重湯→お粥→普通食となった。食割と味もよく、それなりに食も進んだ。

飲み薬として術後5日間ほどは抗生剤が出た。

あとは痛み止めにロキソニンと胃薬ムコスタ、夜は追加でカロナールが追加で出て、

眠れないときは眠剤をもらっていた。


続く。