alexander-technic-japanのブログ

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アレクサンダーテクニークジャパン公式ホームページはこちら:http://www.atjapan.jp
ブログでは主宰者横江大樹が日々のワークで思いついたことなどお知らせします。

『自己の使い方』電子書籍版がまもなく出版されます。

紙版を修正しました。

そこに書下ろし用語解説を載せました。

一項目を紹介します。

 

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Head and neck

アタマやクビ、頭と首

狭義では当該テクニークにおける核心部だ。「アタマやクビ」という日常用語を、まず解剖用語で簡単に観る。厳密にはFM著『いつでも穏やかに暮らすには』の付録Bに医学博士の解説がある。ここではほんの一部、骨格のみ取り上げる。アタマ・頭蓋骨(Occipital)は複数の骨から成る。クビは複数の頸椎(脊椎の上部)から成り、始まりは環椎(かんつい・第一脊椎、Atlas)だ。頭と首の関節、つまり頭蓋骨の後頭顆(こうとうか)と環椎との関節を環椎後頭関節(AO関節)と呼ぶ。AO関節の配置は、およそ両耳の穴間に引いたラインと両目の間に近い鼻の付け根から後頭部へ水平に引いたラインの交差点付近であり、一般人の想像よりかなり上だ。生後しばらく、自分で自分を動かし始めた赤ちゃんは実に美しく、このAO関節に上手で滑らかな動きが観られる。成長につれ洋の東西を問わず汚染され、大人になる頃、ほとんどの現代人がAO関節での動きを減らして固める一方、頚椎の下の方(2番以下)を支点にたくさん動かすようになり、言い換えると、一般人はおよそアゴやオトガイからの水平ラインに沿わせて動かす。

安全に利用可能なアタマとクビの関係性において、FM氏の重大発見を二種類に大別すると、すなわち上と下だ。初め、クビを硬くしてアタマを胴体の方へ引きこむ、つまりアタマを下へやる関係性が顕著だった。一方、後に学習し、不要にクビを固めるのを止める(クビをラクに)と、アタマが胴体からほんの少し離れて(上へ)行く関係性となった。再度、FM氏は自らの癖でクビを固くしてアタマを後ろへ下へ引き下げ(pull down)ていた。その逆方向、つまり氏には、アタマが前に行くので上に行く方向が行くべき方向だった。度合いの問題もあり、しかしながら、アタマを前にやり過ぎるとアタマは下へ行き、同一結果、つまり失声した。

そこで衝撃的事実として、FM氏の映像を基にする私の観察があり、創始者でさえAO関節の動きが少ない。氏はおそらく軸椎(第二)と第三頸椎の間を支点にしている。当初、頸椎のずっと下から固めていたFM氏は首をラクにし、それ以前よりはずっと頸椎上部を支点に出来たから、氏の動きは改善された。創始者を「正しい」お手本として反復練習した第一世代教師がいて、各人を流派の祖として忠実な手技を刷り込み、現代のアレクサンダーテクニーク教師の多くが同じ位置を支点としている。なんとも嘆かわしいが、言い換えると、AO関節の美しい動きを体現するアレクサンダーテクニーク教師は世界中で少数派だ。上記の事実を告げると、私はあらゆる流派から疎まれ排除された。「上等です、もしそうならば、自ら試して、自分自身で見つけなければなりません」。私は自己再教育により修正した。

今では自然科学的に解明され、収縮が生物のクビ周辺から全体へ派生するメカニズムは生存本能に基づき、「びっくり反射」と呼称される。元はおそらく中枢神経系を防御する動きだ。外界(あるいは生体内部から)の強い刺激に対して、クビを硬くしアタマを体の方へ引っ込め、大切な部分を守ろうとする。亀はこの働きで四肢まで引っ込め、「亀は万年」ガラパゴス島の陸亀ジョージは130年生き、人間以上の寿命だ。生存本能が上手く働き、この「びっくり反射」のおかげで生命のピンチを切り抜けたこともあっただろう。しかし乱獲の結果、種として、この陸亀の絶滅は確定している。皆さんの身近で、ネコや犬も鳴いたり吼えたりすると必ずびっくり反射を見せる。重要点をまとめると、びっくり反射は脊椎動物全般に見られる動きだ。人間有機体では、命に関わることでもないのに、舞台上で興奮すなわち交感神経系が激しく刺激され、緊急事態スイッチの入らないパフォーマーの方が少ない。そうした一人であるFM氏は発声時に「びっくり反射」を繰り返し、頭を後ろへ下へやり、喉頭を押しつぶし、あえぐ音が聞こえるほどの口呼吸をして、とうとう失声に至った。その後、長年の研究で抑制し、困難を克服した。別の言葉で、理解の為に、当該ワークを簡略化するたとえとして、脊椎動物の古い脳である脊髄や延髄などをヘビ脳、進化して四足哺乳類になる際に発達したやや上位にある脳をネコ脳、直立二足歩行につれ進化した最上位脳(大脳新皮質)をヒト脳とするならば、そこで、原始的なヘビやネコの脳が起こしそうになる不適切な反射に対して、ヒト脳から指令を出し、抑制し調整し、ネコやヘビを従えるヒトが実際の現場に最適な行動となるように、つまり不必要で余計な緊張を減らしながら必要事項をやるように、修正する練習だ。鬼のクビを取るには、家臣の犬やサルや雉がてんでばらばらに動いてはかえって邪魔で、全部が桃太郎の作戦通りに動く必要がある。もしかして、アタマの中で思うところから、クビがラクに、とお願いすると、アタマは物理的空間的に体から離れる方向へほんの少し動き、脊椎全体がほんの少し長くなり、四肢は広がる方向へ行き、そうやってどんなこともやれるように、思い方の練習を続けると、やるうちにますます望ましい方向へ動いていける。