断定でなく質問で伝える理由。 | アレクサンダー・テクニークってなんだろう?

アレクサンダー・テクニークってなんだろう?

ATとその周辺について、思ったことを時々書いています。

先日、ある教師がブログやレッスンでは断定的にものを言った方がいいですよと生徒さんから言われたという話をしてくれました。

まあ、そこには売れるためにはというコンテクストがあるわけですが。

実は僕も断定的に話をするのはあまり好きではありません。そこにはある意図があるのですが、今日はそれについてお話していきたいと思います。

僕はアレクサンダー・テクニークを学ぶということは、あるメソッドを習得するというものではないと思っています。

じゃあ、何を学んでいるのかと言うと、どうやって頭を使うかということです。

動きのなかでどのような考え方をすると、よりラクに動けるようになるか?

それは、自分で観察して、仮説を立てて、実験をして、検証するという自然科学の検証手法を身につけてもらうということに他なりません。

自分の動きを観察して、なんで上手くいっていないか?どうやったらラクに動けるか?を考えて、実際に動いてみる。そこからフィードバックを得てサイクルを繰り返して行く。

これが、自分の動きの質を改善して行く為に必要なことになります。

もちろん、何も指標がなければどのように考えればいいのかも分かりません。

F.M.アレクサンダー氏が三面鏡の前で10年近くに渡って試行錯誤を繰り返したのは、どうやったらいいかを誰も教えてくれなかったからです。

でも、今ではレッスンでこことここに気をつけて自分の動きを観察して行けばいいというコンパスを教えてもらうことができます。

自然科学的な思考の態度を身につけてもらうことが、動きの改善には必要であり、それを学んでいただいているのがレッスンである。そこで、断定的に話をしてしまうと、生徒さんはそれを正しいと思って考えなしに練習をしてしまう。

そこには、自分で考えて検証していくという態度は育ちません。

さらに、動きの質という点から見ると、ある動きを考えなしに習慣化させることを行うと、ある所までは上手くいくんだけど、最終的には上手く行かなくなることが多いです。

僕は、このような頭の使い方を学んでいただきたいので、質問を投げかけたり、断定しない物言いで生徒さんが考える余地を残しておきたいと思っています。

自然科学の検証手法というと堅苦しい感じがしますが、スポーツ選手やダンサーさんなど身体を使って表現する方なら誰でも行っていることです。

ただし、アレクサンダー・テクニークの場合はここに眼をつけると動きが劇的に変わりますよという独自の目の付け所があるのですが。

つまり、言いたかったのは、気軽に始めてみてはいかがでしょうかということです、えっ そうは聞こえないって(笑)