アレクサンダー・テクニークは言葉にして表すことが難しいのでこのブログやホームページでは実際に体験してみることをお勧めしているのですが、今日はなんで理解するのが難しいのかについて考えてみたいと思います。
アレクサンダー・テクニークを理解しようとする際に難しいと感じる時に起こっていることをコンピューターのOS(オペレーションシステム)のようなものが脳にあるという例えで説明してみようと思います。
僕が初めて脳のOSの違いを実感したのが、青年海外協力隊でバングラデシュに2年間住んだ時でした。
最初の1年間、僕は日本OSによって物事を認識し判断していたため、あれもだめ、これもだめ、といつもイライラしていました。当然物事も上手くいかなくて1年が経つころには大きな病気をして3週間ほど休むことになりました。
そこで、バングラデシュOSをインストールしようと決めました。実際は日本OSをアンインストールするのではなく、日本OS上でバングラデシュOSが動作するような感じで2年目を過ごしました。Mac boot Campみたいですね。(*Mac OS上でWindowsが動くソフトのこと)
そうすると、バングラデシュの良いところが見えてきて、毎日が楽しくなり、活動もだんだんと上手くいくようになってきました。最後にはバングラデシュが大好きになり、第2の故郷のように感じるまでになりました。
この例では文化的なOSの違いだったのですが、ではアレクサンダー・テクニークを学ぶということはどんなOSをインストールすることになるのでしょうか?
それは、心と体は一つであるという心身一元OSです。
現在、先進国では多くの人が心と体は別であるという心身二元OSで物事を認識、判断し行動しています。
一方、アレクサンダー・テクニークでは人間を心と体を分けることはできない存在として捉えています。
心身二元OSで心身一元の世界を理解しようとすると当然、僕のバングラデシュの1年目のように摩擦が起こります。
アレクサンダー・テクニークを難しいと感じる人の中ではこのようなことが起こっています。
若い人達とレッスンしていると彼らの心身二元OSはまだ強固なものになっていないので、すんなりとできるようになる人が多いです。
さて、ここで心身二元OSの患者と心身一元OSの医者がいるとして、どのような会話がなされるのか例を挙げてみたいと思います。
患者「先生、体のここがいつも痛いんです。なんとかしてください。」
医者「分かりました。この症状の原因はあなたの毎日の習慣にあります。〇〇のような考え方をして、食べるもの、働き方、嗜好品の摂取、すべてを変えてください。そうしたら治りますよ。」
患者「えっ、でも、これとこれとこれはやめられません。薬でなんとかなりませんか?」
医者「、、、、、(治る気がないようなので、とりあえず薬を処方するか。でも、また同じことを繰り返すから様子をみながら少しずつアプローチするしかないな。)分かりました。今日はこの薬を処方しておきます。また来週来てくださいね。」
世界の認識の仕方が根本的に違うため会話がかみ合っていない(医者は両方の見方を理解しているので話は出来ている)のが分かると思います。
アレクサンダー・テクニークを学ぶということは、新しい世界の認識の仕方を学ぶということでもあります。
物事を多面的にみることができるようになると世界が広がります。
僕はバングラデシュでの体験で横の視野が広くなり、アレクサンダー・テクニークを学ぶことで物事を深く理解することができるようになりました。
そして、肩こりがなくなって整体に行く必要がなくなり、人前で話すことが昔ほど苦手ではなくなり、久しぶりにサッカーをしても筋肉痛になりにくくなり、考え方や物事の認識の仕方が以前より自由になってきました。
さて、このブログを読んでいる方に朗報があるとすれば、もともと日本の伝統文化は一元論でできているものが多いので、日本人にとってアレクサンダー・テクニークは学びやすいということです。
アレクサンダー・テクニークは東洋的なものであるとも言えるかもしれません。実際にあちらでは、西洋の禅とも言われています。
みなさん、心身一元OSをインストールして新しい世界の見方を獲得してみませんか? 世界が広がりますよ!