アダム・ウィンガードの過去作を観よう! 『サプライズ』 | Blu-ray DVD Amazonビデオ 劇場最新作より、映画の感想・レビュー!

Blu-ray DVD Amazonビデオ 劇場最新作より、映画の感想・レビュー!

映画や音楽などについてのブログです。
読者がおもしろいと感じて頂ければ幸いです。

どうぞお気軽にお立ち寄りください。

『ゴジラvsコング』の日本での公開が延期になっている間、今までの日米ゴジラ映画を観てフラストレーションを紛らしていたファンは多いのではないでしょうか?

ここで一息ついて、この『ゴジラvsコング』の監督、アダム・ウィンガードの過去作品を観てみるのもまた良いかもしれません。

彼のフィルモグラフィを見渡すと、スリラーやホラー、それこそグロ映画を多く手掛けています。

そんなウィンガード監督の持ち味がはたして『ゴジラvsコング』にもどこかしら反映されているのかに注目して公開日に劇場へ足を運ぶのもおもしろいでしょう。

そして私が今回取りあげたいウィンガード監督作品がこちら──

『サプライズ』(2011年 監督:アダム・ウィンガード 出演:シャーニ・ヴィンソン、A・J・ボーウェン、ジョー・スワンバーグ、ニコラス・トゥッチ、タイ・ウェスト 他)

 

 

【あらすじ】──結婚35周年を祝う夫婦の別荘に集まった息子や娘、そしてそれぞれの妻や恋人たち。

その夜、長女の彼氏・タリク(タイ・ウェスト)が、何者かにより窓の外から放たれたクロスボウの矢で殺される。

さらに家族たちか襲撃され、動物のマスクをかぶった不審者が侵入してくる。

そこに次男の彼女・エリン(シャーニ・ヴィンソン)が驚くべき反撃に出る。──

 

 


☆別荘というほぼワンシチュエーションの殺人スリラー

何か怪しげな雰囲気から始まる結婚記念日の夫婦の別荘。

精神的に病んでいる妻が、別荘に誰かがいると言い出す。

 

 

夫が確かめても誰もいないが、実はすでに何者かが彼らを狙っていますというのがわかりやすく演出された冒頭。

別荘と言っても大きく立派な屋敷のようで、そこに家族が集まった夜に、窓の外からクロスボウで襲われる様は、まるで何かの推理モノのサスペンスにありそうなシチュエーションです。

 
 
 

 

しかし本作はあくまで単純明快なスリラー。

死人が1人出るのは皆が見ているその場なものだからパニックに。

そしてここから正体不明の殺人犯グループと、思わぬ反撃に出る主人公エリンによる、正にスリラーな展開が始まります。

 
 

 
 

本作の原題は"You're Next"ですが、そこに『サプライズ』という邦題をつけた理由は確かにわかります。


★ただ者じゃない主人公エリン

ごく普通の主人公が逃げ惑うのであれば、それはよくある殺人鬼ホラーですが、本作の見所はなんと言っても主人公が強いというところ。

始めは大学教授の教え子だったが、その大学教授と恋仲となってしまった、守ってあげたい系の女性に見せています。

だいたい自分の教え子と恋に落ちる男も、そういう目で相手のことを見ているでしょう。

しかしそんな彼女のイメージが一転。

一家の次男である彼氏・クリスピアンも知らない、彼女の本当の姿が露になります。

次々と犯人グループに殺されていく別荘の者たち。

 
 
類い稀なサバイバル能力で生き残るどころか、犯人グループにこんなの聞いてないぞと言わんばかりのサプライズを喰らわせています。
 
 
一見地味な女子大生が急に美しく見えてきます。

いいぞ、もっとやれ!

と声援を送りたくなる、甘美なカタルシスの演出です。
 
 
しかもそれを彼氏の両親や兄弟たちが集まった別荘で醸してしまう様がまた痛快です。


☆犯人グループの黒幕がこれまたサプライズ!

さて、エリンの活躍で犯人グループを見事に手こずらせるのですが、本作の犯人は動物のマスクで顔を隠しています。
 
 
 
キツネ、ヒツジ、トラの3人のようですが、実は彼らと手を組んでいる黒幕が別にいます。

しかも、主人公のエリンが強いのもありますが、この動物のマスクの3人が思いのほか弱い気もします。

そして黒幕が別にいると言ってしまうとだいたい読めてしまいそうですが、ラストでまたなんとも皮肉な真相が明らかになります。

さらには最後の最後で苦笑いな結末です。

せっかく主人公のカッコよさが前面に出ていたのに、ありゃカッコ悪くて後味も悪い!


──というわけで、『ゴジラvsコング』の公開が延びた隙にアダム・ウィンガードの過去作品を1つ観た感想をサラッと述べてみました。

実はそれ以前に私は彼の作品を1つ劇場で観ています。

あの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の正統な続編と言われているホラー作品『ブレア・ウィッチ』です。

その点では、ホラーやスリラーを多く手掛けているだけでなく、モキュメンタリー作品も手掛けている監督がゴジラ映画でメガホンを取るのは意外な気がします。

それだけに、『ゴジラvsコング』というスペクタクルな怪獣映画にどういう風に彼の持ち味が現れているか?

ギャレス・エドワーズ監督やマイケル・ドハティ監督のように、ゴジラ映画を手掛ける以前からSF大作に携わったり、ゴジラオタクぶりを放っている監督とはまた違った視点の持ち方がありそうで興味深いです。