『ガンヘッド』──怪獣映画にはじまり、それ以外の東宝特撮も好きになる!④ | Blu-ray DVD Amazonビデオ 劇場最新作より、映画の感想・レビュー!

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怪獣映画以外の東宝特撮で私が好きな作品について語る記事の第4段!

というわけで、今までの3回で取り上げた作品は50年代や60年代の作品なのですが、今回はいっきに80年代に飛びます!

その作品はこちら。

『ガンヘッド』(1989年 監督:原田眞人 特技監督:川北紘一 出演:高嶋政宏、ブレンダ・バーキ、円城寺あや、水島かおり、原田遊人、川平慈英、斉藤洋介、ミッキー・カーチス 他)



【あらすじ】──2025年、人類に宣戦布告した巨大コンピューター「カイロン5」を前に、自動戦闘ロボット「ガンヘッド」の部隊は全滅する。

13年後、トレジャーハンター「Bバンガー」はカイロン5のCPUを盗むため無人島8JOに潜入するが、バイオドロイドの襲撃を受ける。

そこで生き残ったのはBバンガーの1人、ブルックリン(高嶋政宏)と、島で遭遇したテキサス・エア・レンジャーズのニム(ブレンダ・バーキ)のみだった。

カイロン5の陰謀を知ったブルックリンは残骸の中からガンヘッドを修復し、戦いを挑む。──


☆なんなんだこのカッコいいメカは?ワクワクする戦車ロボット

時期は『ゴジラvsビオランテ』が公開されたのと同じ1989年。

さすがに私はまだ小さかった頃で、リアルタイムでは知りませんでした。

2018年に開催された『特撮のDNA』の展示会で初めて知った東宝特撮メカニックの1つがこのガンヘッドです。

初見で思ったのは「なんなんだこのカッコいいメカは?」です。

80年代の日本映画界ではこんなスタイリッシュなロボットが登場する映画が実写で作られていたのか!

と、そこに展示されているミニチュアを眺めながら惚れ惚れしてしまいました。

 

 

その他の東宝特撮のメカとはまた違う重厚な色合い。

実在の武器を寄せ集めて脚を付けたような武骨なフォルム。

アニメ制作会社サンライズと東宝との提携で制作された作品ということで、その劇中に登場するガンヘッドのデザインは河森正治さん…

…なんですが、私はこの方のこともよく知りませんでした。

様々なアニメに登場するメカニックのデザインを手掛けている方なんですね。

確かにガンヘッドのデザインは往年の特撮映画よりも、どことなくSFアニメに登場するロボットのようなデザインであるとは思っていたので、なるほど!


★ニム役のブレンダ・バーキが美しすぎる!

主人公ブルックリンが出逢う、テキサス・エア・レンジャーズの女性レンジャー、ニム。

東宝特撮に欧米人が登場するのは以前から珍しくないことでしたが、本作のニムを演じているブレンダ・バーキが一際クールビューティで、主役を食っています。

ハリウッドでは『ホット・ショット2』や『L.A.コンフィデンシャル』といった有名作品にも出演しているのですが、総じてハリウッド映画で目立った印象はありません。

しかし、少なくとも本作においてはこの役を演じたのが本当に彼女で良かったと思えます。

このドライな人物像を演じるにあたって、彼女の目つきがイメージにしっかりハマっています。

他の出演作をよく知らなくとも、とにかく本作の中の彼女は異様なほど魅力が前面に出ていますね!

興行が振るわず、後のアメリカでのVHSの発売でも扱いは酷かったらしい本作ですが、ブレンダ・バーキの出演のおかげで作品の魅力が格段に上がっていると言って良いかもしれません。

黒いジャケットを着て銃を構える姿がセクシーです。

別に露出の多い格好でなくともエロいんですね。

こうして本作で魅了された以上は他の出演作も観ておきたいものです。

先に述べた2作品の他にもスティーブン・セガール主演の『暴走特急』や、私は全く知らないのですが『ガンメン』や『デーモン・ナイト』といった作品に出演しているようです。

しかし何よりも気になるのが『クライシス2050』

プライム・ビデオで配信されていないのがAmazonユーザーとしては残念です。


☆ユニークな人物たちがいるからこそ許せる世界観

意思を持つ高性能なコンピューターが人類に宣戦布告するなんて世界観の設定は本作よりも先に『ターミネーター』がやっていたことであり、当時としても決して新しくはなかったかもしれません。

しかも冒頭の暗い映像の中で映し出される機械と人間との戦争の光景など、ホントにターミネーターをパクったんじゃないかと思ってしまうくらいです。

 

 

しかし、トレジャーハンター集団Bバンガーの個性の強いキャラクターにより、やはり往年の日本のアニメのようなテイストになっているのだから優秀です。

しかも役者の中に川平慈英さんがいるという、ある意味レアなキャスティング。

彼が演じるボンベイは衣装もおかしいですよね。

なんなんだ?あの頭からぶらさげてるヤツは!

あ、たぶん懐中時計でしょうか。

ロレックスをコレクションしているみたいなので。

さらには高嶋政宏さんが演じる主人公ブルックリンがシガレットケースから取り出すのはスティック状のニンジン!

ちょいマネしてみたくなります。

そのブルックリンのコクピット恐怖症を直そうとする兄貴分キャラがミッキー・カーチスさんが演じるバンチョー。

(ちなみにみんな名前も変わってる!)

冒頭の移動用の航空機内でのシーンからクセの強いキャラを醸しています。

ブルックリンに向かって

「銃と○ンタマは遊び道具じゃねえぞ」

なんて特撮映画らしからぬ下品な言葉を使います(笑)

さて、劇中の数少ない子どものキャラクターがセヴンとイレヴン。

カイロンの思惑により島で生き残っていた、11歳の少年・セヴンと17歳の少女・イレヴンなのですがコンビニみたいな名前です!

セヴンの方はなんだかんだでブルックリンの助けになる人物で、彼を見ているときだけはジュブナイルの色が強かった70年代頃のゴジラ映画を思い起こすことができます。

イレヴンに関しては声を失っているという謎めいた設定なのですが、クライマックスでその意味が明らかになる瞬間に思わずニヤリとさせられます。

しかし!

これだけの人間キャラの個性に押されることなく、やっぱり最高にユニークなキャラクターはガンヘッド507です。

メカですがよく喋ります!

淡々とした喋り方ですが、愛嬌があるんですね。

「死ぬときは直立モードで」

などと言い出し、燃料切れになればウィスキーを燃料として求める。

マッシブな見た目とは裏腹に憎めない奴です。

多脚戦車にも似たルックスだけに、攻殻機動隊のタチコマと重なる所もあります。

こんなメカと仲良くなりたいですね。


★暗い映像ゆえのリアルな特撮表現

本作の画面から伝わる色のイメージはとにかく"黒"ですね。

暗い屋内のシーンがほとんどで、実のところガンヘッド本体の色も劇中では黒一色だと思ってしまうほどです。

いや実際に黒色のボディなんでしょうか?

例えばコトブキヤが発売しているプラモデルではグレーのようですが、いずれにしても劇中ではガンヘッドは黒色のイメージがあります。

 

 
 

クライマックスで敵として戦うエアロボットも黒色に見えます。

何せその暗い映像により、細部がよくわかりにくいシーンもあります。

しかしその暗さにより特撮シーンが妙にリアルです。

いかにもミニチュアだと感じるところがないんですね。

ほとんどシルエットで映るガンヘッドなど、実物大のメカが人間の横で動いているように見えます。

(実際、実物大のプロップが使われているシーンもあるとのことですが…)

この見にくい映像には賛否ありそうですが、慣れればクセになる世界観だと思います。


──というわけで"怪獣以外"特撮作品でも一際異色の世界観を持つこのロボットSF映画について語りました。

先述した通り、人物の描写がおもしろいのはやはり監督の原田眞人さんの手によるものでしょうか。

ボソボソと何言ってるんだ?となるような台詞が多い作品でもあります。

そして特技監督は後のゴジラシリーズを手掛けた川北紘一さんですが、この『ガンヘッド』がヒットしていれば『ゴジラvsビオランテ』ではなくゴジラと巨大コンピュータが戦うという内容になっていたという話は興味深いですね。

つまりヒットしていれば、ビオランテは誕生していなかったかもしれないという意味では後のゴジラシリーズにとっての分岐点でもある作品がこの『ガンヘッド』なんですね。

ところでそれ以前に川北氏が特撮を手掛けた『さよならジュピター』を私はまだ観ていないので観ておきたいところです。



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