冒頭に2つのトラウマシーン! 思い出のグロ映画『アナザヘヴン』 | Blu-ray DVD Amazonビデオ 劇場最新作より、映画の感想・レビュー!

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「昔の洋画ホラーが素直におもしろい」

なんてことを以前のブログで言いましたが、日本のホラー映画に関しては十数年前とか20年くらい前のが、それにあてはまりそうです。

『リング』はあまりに定番と化していますが、同じ鈴木光司原作の『仄暗い水の底から』も切ないラストながら、とにかくあの暗い映像がクセになります。

しかしそんな幽霊とかではなく、SFの色が濃いホラーで記憶にある映画があります。

それもいい感じにグロい!

今ではそのトラウマが私の思い出にすらなっているこの作品はいかがでしょうか。

『アナザヘヴン』(2000年 脚本・監督:飯田譲治 出演:江口洋介、市川美和子、松雪泰子、柏原崇、加藤晴彦、原田芳雄、柄本明、岡元夕紀子 他)



【あらすじ】──殺害した被害者の脳を取り出し料理するという猟奇殺人事件が発生。

刑事の飛鷹健一郎(原田芳雄)と部下の早瀬マナブ(江口洋介)が事件の真相を追う中、犯人は人間ではない正体不明の「何か」であることがわかり始める。

人間の脳に寄生する謎の生命体に翻弄され、次々と被害者があらわれる。──


☆冒頭にある2つの衝撃シーン

岡元夕紀子による目から血を流すシーンも、たいがい不気味ですばらしいのですが、この作品でやっぱりトラウマとなったのはまず、脳料理のシーンですね!

警察が目の当たりにした死体の頭はカラッポ。

脳はどこにいった?

といいながら、現場にはグツグツと煮込まれっぱなしの料理の鍋。

いい香りだなんていいながら、その鍋の中に脳が入っていた!

というあのシーンはテレビ放送でたまたま観たときに、とりわけショッキングでした。

ハンニバル・レクターと肩を並べられる猟奇さです。

ここまでの表現を日本映画でやってのけていた姿勢はある意味誇らしいと今では言えます。

さすがに今の慣れた目で見ると、あの脳ミソは作り物感アリですが、それでもああいう発想が申し分なくグロいですね!

ホントにチーズの香りがするのか?

食べたらウマいのか?

なんてつまらないバカげた想像をさせられた、私の中での名シーンです。

そしてもう1つのショッキングなシーンは、主人公マナブにつきまとう大庭朝子を演じていた市川美和子が惜しげもなくさらす乳房です。

正直、私はこのときに彼女という女優を知ったと言っても過言じゃありません!

名前までしっかりと知ったのはその3年後のNHK教育『ドイツ語会話』の出演のときでしたが…

まあ、それにしてもあのほっそい体で見せる裸体はハッキリ言って色気とかエロとは違う意味での衝撃でした。



その細い体であるがゆえの妙なリアリティが、これまたトラウマになっていました。

江口洋介との台詞のやり取りの中で絶妙なタイミングで見せる演出も、見る者に衝撃を与えるのに一役かっています。

確かそのテレビ放送は普通にゴールデンタイムだったと記憶していますが、それもそれで今となってはスゴかったなと思えますね。

ところで地上波放送では、鍋の中の脳のシーンと、江口洋介と柏原崇によるキスシーンはカットされたとあるのですが──

いやそんなはずはない!

キスシーンはともかく、脳ミソのシーンに関しては少なくとも私が観たテレビ放送では普通にカットされてなかったはず!

それになんでキスシーンをカットする必要があるのか?というツッコミどころ。

それより市川美和子のオッパイ!

そっちじゃないですか?!


★やっぱりいい俳優陣

だいたいどの俳優もそうですが、どちらかといえば普段はテレビドラマのイメージが強い俳優も、映画で見れば映画なりの良い演技をしていると、私は思ってます。

主演の江口洋介も、私は映画の中では好きです。

本作のように敵にボロボロに翻弄されながらも立ち向かう刑事を演じたら特にアツいですね!



(あんな死体を前に救命医の出番ではありません!)

2013年の『脳男』でも熱血刑事の役でしたが、やはりあの感じの彼が私は好きです。

それでいて2006年には台湾のホラー映画『シルク』でマッドサイエンティストな方向に向かう物理学者という、けっこうカルトな役も演じていて、そういうところに好感が持てます。

そして先ほどの市川美和子も、クライマックスに向けて重要なポジションを占める人物を演じていますが、強い個性を発揮しています。

グロテスクな物が平気な変わり者の元キャバクラ嬢というあの濃いキャラクターは、やはり彼女だからこそ表現できる役柄といえます。

そしてそんな彼女の演じる大庭朝子と同じく、主人公マナブに好意を抱く女医・笹本美奈役の松雪泰子はなんとも色気があります。



『脳男』でも彼女は──精神科医ではありますが─女医の役で、対して江口洋介が刑事の役だったという組み合わせがおもしろいエピソードです。

いつかの何かのドラマでも女医を演じていた松雪泰子は、やっぱりそう…女医のイメージですね!

しかしながら!2011年の『スマグラー おまえの未来を運べ』でのゴスロリファッションもまたインパクトありました。

変な役でも妙な魅力がある彼女ですが、本作『アナザヘヴン』では…ハイ、女医なんです。

こんな女性に好かれる主人公が羨ましいですね。

(風変わりな元キャバ嬢と“ひとつ屋根の下”というのも良いかも知れませんが)

さあ、脇役の中では何かと存在感があるのが検死官・赤城幸造を演じている柄本明。

何かと落ち着いたキャラの渋い脇役で目にする俳優です。

本作では「死体ばかり見ているから、たまには生きているものと接したい」という理由で熱帯魚を飼っているベテラン検死官の役です。

そんな適度な壊れ感に味があります。

落ち着いた人物像の中でもどこか強い個性がある役として、安定のポジションです。

『リアル鬼ごっこ』の王様のときのも好きですけどね!

それよりも誰よりも!



加藤晴彦を最近見かけません!

アルペン…どうぶつ奇想天外!…いやいや、それらも懐かしいですけど、映画では『口裂け女』で見て以来です。

『アナザヘヴン』でのオタクなキャラ、良かったですよ!


☆コワさよりカッコよさで観たくなる世界観

小説を原作としたホラー映画としては最初に例を出した『リング』もそうなんですが、時代で言えば90年代後期から2000年に入りたての頃のこういった映画の映像とか演じている俳優とかがやはり私は好きですね。

いい感じに暗い、湿度感でくる映像世界!

ホラー映画としてのコワさを醸しているという意味合いはもちろんなんですが、この期におよんではカッコよかった!と言いたくなります。

『アナザヘヴン』のほうは『リング』ほどのインパクトはなかったようですが、やはりもっと評価されても良い作品だと思います。

遠慮なく見せるグロ描写を堂々と日本の映画界で、それもガッツリとシリアス路線でやっていたという構図そのものがスタイリッシュです。

そして本作の主題歌に使われたLUNA SEAの『gravity』

この映画にこの曲という組み合わせもセンスがすばらしいですね!

オリエンタルテイストなイントロで始まるこの曲が、作品のダークで湿度感ある映像世界にハマっています。

LUNA SEAのこの曲を聴くと、併せて『アナザヘヴン』を思い出します。

同じ2000年の映画である『リング0 バースデイ』ではL'Arc~en~Cielの『finale』が主題歌でしたが、あちらと並んで最高の映像と音楽の組み合わせですね!


──というわけで、私ひとりの世界で語ってしまったこの作品。

基本的に周囲の評価は良くありません。

好きな人は好きという、観る人を選ぶ作品でしょう。

ある程度ゲテモノな映画に見慣れている人にはそれなりに受けるかもしれません。

もっとも、私の場合はやはりその映像から伝わる当時のノスタルジーで評価してしまってる部分が大きいです。

そうですね…

131分と、思いの外ボリュームのある映画だったんだなと、ふりかえって気づいたのですが、その割にあの謎の寄生体の正体がわからぬままというのは確かに惜しい気はします。

だからといってここで科学的なオチがあると、『リング』の続編『らせん』のような興ざめにつながりそうでもあります。

(個人的にはあちらも好きなんですけどね…)

その意味では得体の知れない犯人としておくのがベストだったとも言えます。

で、先ほど述べたように何より、カッコいい映画だと思います。

何かと『リング』シリーズを引き合いにしながら語ってしまいましたが、『リング』や本作『アナザヘヴン』に比較的近い時期のホラー映画なら例えば『呪怨』だってそうだし、逆に時代をさかのぼって『女優霊』なんかでもそう。

あの辺りの時期の邦画ホラーは、やはり近年の作品よりずっとダークで不気味な雰囲気の映像でしたよね。

あの味を今の映画制作でも、もっと出してほしいところです。


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