1982年に公開されたリドリー・スコット監督の名作SF『ブレードランナー』
公開当時は私はまだ生まれてなく、初めてこの作品を観たのは割りと最近になってからです。
攻殻機動隊を観てから(こちらも最近!)近未来SFや、中でもサイバーパンクと呼ばれる類の世界観にのめり込んだ影響で、この『ブレードランナー』という映画を知りました。
初めて観た印象は、
「なるほど!その後の近未来SF作品に多大な影響を与えた映画として聞いてはいたけど、確かに!」
と、うなずけました。
近未来SFやサイバーパンクというと、まず思い浮かぶのは無国籍感な街の描写。
英語の標識に漢字の標識が入り交じり、東洋情緒を感じさせるオブジェクションがところどころ見受けられる世界。
『ブレードランナー』という作品は、正にそういう描写が多く見られる、おそらく最初のSF映画なのでしょう。
そこに人間と変わらぬ姿をしたアンドロイド「レプリカント」が登場し、彼らが自らのアイデンティティに苦悩する様は、それこそ攻殻機動隊の世界にも影響を感じさせられる未来の世界観と言えます。
更に気になるのがラストシーンです。
制御のためにあらかじめ4年の寿命しか与えられていないレプリカントの1人、レイチェルと、彼女を愛してしまった主人公・リック・デッカートがどこかへ行くというシーンで幕を閉じます。
まるで続きがありげなラストシーンなのですが、35年を経て何を今更!と言わんばかりにその続編が公開されてしまったワケですね!
『ブレードランナー 2049』
私は公開2週目の週末に観に行きました。
というわけでこの『ブレードランナー 2049』を観た感想や感慨深いと思うポイントを述べていきます。
☆ハリソン・フォードの名作出演歴がスゴい!
まず思うのはここですね。
1982年に『ブレードランナー』の主人公・リック・デッカートを演じたハリソン・フォードが35年後に再び同役を演じているというところ!
ちょっと待てよ!
ハリソン・フォードといえば1977年から1983年にかけて『スター・ウォーズ』シリーズでハン・ソロを演じていましたね。
それから32年たった2015年に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に同じくハン・ソロの役で出演しています。
ほぼ同じ頃に公開された2つのSF作品において主要な人物を演じており、30年以上たった2010年代に再び同じ人物を演じているということになります。
そして80年代頃に公開されていたハリソン・フォード主演の有名な作品に『インディ・ジョーンズ』シリーズがあります。
1989年公開の3作目『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』から19年後の2008年に『─クリスタル・スカルの王国』で主人公インディアナ・ジョーンズを再び演じていました。
こちらは19年という比較的短い隔たりですが、されど19年!
やはりこれまた80年代の名作シリーズの主人公を、ああして2000年代に入って再び演じた歴史があるハリソン・フォード。
過去に演じた人物(それも主役もしくは主要な人物)を十数年や数十年たってから、また同じ役として演じるという偉業。
それを3つの大作シリーズで成し遂げたということになるんですね!
俳優多しといえど、こんな経験をする人はそうそういるもんじゃないのではないでしょうか。
愛すべき!ハリソン・フォードの出演歴!
★アナ・デ・アルマスがかわいすぎる!
さて、ハリソン・フォードについて述べましたが、続編である『ブレードランナー 2049』の主役はライアン・ゴズリングが演じる“K”という人物です。
そんなライアン・ゴズリングの魅力についても語りたいところなのですが、私がこの作品を観ながらずっと気になっていたのは、ジョイというホログラムの女性を演じているアナ・デ・アルマスです。
劇中で初めて登場する時点で一目惚れしちゃいました。
私はこの女優をよく知らないのですが、とにかくめちゃキュート!
ライアン・ゴズリング扮する主人公にいつも寄り添うように登場するのですが、たとえ立体映像でも毎日こんな女性と話せたら最高ですね。
そんなアナ・デ・アルマスという女優。
過去の出演作品に「ノック・ノック」というスリラー映画があります。
そこではキアヌ・リーブスを散々痛めつける2人の女性の1人を演じていました。
「あっ、あのときの!」
と、後になって知りましたが、『ブレードランナー 2049』では全然そんな醜さとは無縁のキュートな女性を演じています。
フェリシティ・ジョーンズを初めて知ったときの感覚と似ているなぁ…。
☆上映時間163分!厚みのある作品なんですが…
さあ、作品そのものについての感想を述べていきます。
この『ブレードランナー 2049』という作品──
ひとことで表せばものすごく力を込めて製作した名作の続編!
と言ったところです。
163分という長尺で、しかも30年前とは比べ物にならないVFX技術を駆使しているわけですから!
今のハリウッド映画としてはもう当たり前の感想になりますが、ストーリーの壮大さや重量感という意味でも、文句なしの作品に仕上がっています。
ただ、言い換えれば“重量感ありすぎ” “大まじめすぎる”と言えます。
もともと発展と荒廃が入り交じった近未来を描いたサイバーパンク映画のイメージがある『ブレードランナー』ですが、この続編に至ってはそのサイバーパンクな雰囲気が薄くなっています。
名物の近未来の街の描写はあるし、ストーリーは前作と関連づけられた内容であることも確かです。
しかし作品全体で頻繁に見受けられるのはダダっ広くて埃っぽい、ただ荒廃的な景色で、更には近未来とは無縁な原始的な外装とインテリアの家が、自然豊かな景色の中で登場したり──
その中でハリソン・フォードが画面に映るとなると、やや『スター・ウォーズ』を観ているような気分にもなります。
全体としては一切、チープなところがなく申し分ないのですが、個人的にはもっと軽やかなノリにしても良かったのではと思います。
『ブレードランナー』と同じフィリップ・K・ディックによる原作で映画化された『マイノリティ・リポート』くらいの加減がちょうど良いかと。
前作もあくまでシリアスな作品であることには変わらないのですが、あちらはもっと明るさがあったように思えます。
そして展開としてももう少しスピード感があり、それを発展と混沌と荒廃(+東洋情緒なオブジェクション)の中で見せる楽しさが前作にはありました。
続編である本作でも、前作のそういった雰囲気をもっと前面に出したほうが、前作からのファンとしてはうれしい作品になったのではと思います。
特にあの近未来の街のテイストをもっと作品全体に出してほしかったなぁ。
それでも、レプリカントについて更に掘り下げた話しが軸になっており、前作のリック・デッカートのその後の動向、その周囲で何があったのかについて謎が解き明かされていく展開には感動を覚えます。
その意味では十分に前作からのファンを喜ばせる内容にはなっていると言えます。
前作を知っている人なら特に“レイチェルのこと”が気になりますよね?
そしてラストのラスト!
うわっ!そういうことだったのか!
と、静かながらに心にしみわたる余韻があります。
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