(2012-07-05  22:08:44 の記事)

■「団体」著作権と、「個人」著作権の違いを利用した、アレフの対抗策としてのヨガ本


 アレフの著作権侵害の問題がついに公に報道され始めました。

 一連のオウム事件後、松本死刑囚の説法などが出版された初のケースとしてのテレビ報道です。


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「オウム」勧誘の本を販売 松本死刑囚の説法も(12/06/28)
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220628063.html

テレビ朝日のニュース2012.06.28 22:35

 著作権者であるオウム事件の被害者支援団体の弁護士の方のコメントも報道されていました。


オウム被害者支援機構・中村裕二弁護士:

「過去の著作物ときちんと比較して、著作権法違反になるのかどうか、
 そういったことについてはきちんと精査する必要があると思います

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 この問題が、いよいよ徐々に周知されていくようです。

先日、本ブログでも
アレフがヨガ本『チャクラとクンダリニー』を出版 の記事を掲載しましたが、
この本のことです。

ただし、今回の報道された問題は、単純な著作権侵害の問題ではありません。

オウム真理教の著作物を無断で使用している問題で、
被害者団体に、著作権侵害を指摘され、追い詰められているアレフが、
それをかわすために、オウム真理教の書籍そのものではなく、
麻原の著作や麻原の説法の一部を使って、
(信者)個人の名義で、新しい本を出したということなのです。

この本の狙いは何でしょうか。
「団体」著作権と、「個人」著作権の違いを利用したアレフの対抗策なのです。

といいますのは、
アレフの広報担当者に最近接触した一般の方が本人から聞いたこととして、
著作権問題に対して、アレフが予定している反論は、

「麻原の著作物や説法は、麻原個人の著作権であり、
オウム真理教の著作権ではないから、
それを被害者団体に無断で使っても、著作権侵害にならない」

というものだというのです。

アレフは、被害者団体が有しているのは、「オウム真理教の著作権」であり、
「麻原個人の著作権」ではないとし、
今回の新しい出版物も、麻原の個人名義で出版された過去の書籍
『生死を超える』と、麻原の説法などを中心としして構成されています。

しかし、アレフが現在使っている教材の中には、オウム真理教時代に明らかに、
オウム真理教名義(オウム真理教のクレジット)で刊行されたものがありますが、
それも無断で使用しています(例えば、最近記事でご紹介した30万円の
『アレフ教学システム』)。

また、

 ① 麻原の著作物や説法が、本当に麻原個人の著作物であり、
   オウム真理教の著作物ではないのか、
 ② さらには、麻原個人の著作物であれば、麻原の起こした事件の被害者側
    に、無断で使用し続けられるものか、

については、弁護士の方には、よくおわかりになることと思います。

この点は、ここで書くと、ご迷惑をかける可能性があるので
控えさせていただきます。
場合によっては、証拠隠滅など、アレフを利することになるからです。

よって、わたしたちがアレフの人たちに願うことは、
アレフの人たちが、自分自身を客観的に厳しく見つめ、
どういった主張が裁判で通用し、通用しないかを冷静に判断することです。

自分たちの理屈・解釈の中で、いくら、「自分たちが正しい」と考えても
(思い込んでも)、現実には、裁判所が、社会が、それを認めないというのが、
これまでの圧倒的な流れだったはずです。

さらに、被害者支援団体は、弁護士の集団であり、
その理事長は、元日弁連会長(日本弁護士会のトップ)の方なのです。

この、アレフが罪を犯している事態が、正当な現実であり、
アレフが国家に「弾圧されている」わけではないのです。
罪を犯したから、訴えられている、ただそれだけなのです。


■歴史は繰り返される

そして、歴史は繰り返されるということがあります。

◎1989年

1989年、オウム真理教の苛烈な出家制度の問題を「サンデー毎日」が
取り上げました。その情報源は、故坂本堤弁護士でした。

そして、11月4日、坂本弁護士殺害事件が起こりました。
その後、オウム真理教は総選挙に出馬して惨敗し、
その後、熊本県波野村に信者が集団移転して、
そこで地域住民との大きなトラブルが発生しました。

◎2009年

その後、ちょうど20年たった2009年のことです。

私たちが2007年にアレフを脱会した2年後に、
アレフと被害者支援団体の対立が鮮明になったのです。

奇しくも、その被害者支援団体の弁護士の方は、
故坂本堤弁護士の同僚だった方々です。
被害者支援団体が求める賠償契約の更改をアレフが拒絶 しました。

最初は更改に応じるそぶりを見せていたアレフは、
一転して態度が豹変したと弁護士の方々からお聞きしました。

さらに、アレフは、その弁護士の方が、
地域住民の集会で話された内容の一部を批判して、
「その謝罪が無ければ一切交渉に応じない」と主張・敵視し始めたのです。

ところが、そのアレフの批判は、どんな内容だったかというと、
「弁護士の方が、アレフが予定する賠償金額をアレフが報告した額よりも
 多少多めに言った」というだけのことでした。
つまり、ある意味で、アレフに有利な話なのですから、
揚げ足取りとしか思えないことです。

しかし、その後ずっと、アレフは、この批判と謝罪の要求の一点張りだそうです。

被害者団体が、昨年2011年に、「著作権侵害をやめるように」
通知した際さえ、そうだとお聞きしています。

そして、アレフと被害者支援団体の対立が鮮明になった2009年に、
私たちは、支援団体の弁護士の先生方に呼ばれて、

「なぜ、アレフが強硬な路線に転じたと思う か、
 私たちが推察できることがないか」
を尋ねられました。

その会合の日が、何と2009年11月4日で、
故坂本堤弁護士の20年目の命日だったのです。

私たちにとって、それは衝撃的な出来事でした。
20年の時を経て、坂本弁護士の同僚の弁護士の先生と、
オウム真理教を継承したアレフが、再び対立しているという構図です。
歴史は繰り返すということを思わずにいられませんでした。


2010年

そして、その翌年、アレフは、東京の足立区に大型ビルを購入し、
信者が集団移転しました。

地域住民問題が発生しました。
足立区は特別条例をもって対抗しました。

まるで、89年の坂本弁護士との対立の翌年に、
熊本県波野村に集団移転したのと同じように・・・。
「歴史は繰り返す」ということを思わずにいられませんでした。

また、最近最もアレフ問題に関心を持っている週刊誌は、
少なくともその一つは、今回もまた、サンデー毎日のようです。
先日は、「サンデー毎日」の取材をお受けしました。

その記事は、被害者の弁護士や江川紹子氏のコメントも載せて、
アレフの問題の大きさを指摘していました。

ここでも、歴史は繰り返すのかもしれません。
なお、このコメントの中には、ひかりの輪とアレフの違いが、
ある程度表現されているものがありました。

カルトやオウム問題に詳しい紀藤正樹弁護士は、『サンデー毎日』(2012年7月1日
号)誌上で、次のように語っています。

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  「ひかりの輪はアレフから追い出された少数派であり、教団というよりサークルに近い。
   サリン事件のようなことをやれば団体として大変なことになると分かっていた幹部連中が
  追い出された。
   …サリン事件を体験していない人たちが幹部となったアレフには、『事件には何かしらの
  意味があった』と思っているような信者が残りました。
   アレフ信者の麻原彰晃に対する信仰の度合いは95年以前と同じで、むしろ個人崇拝、帰
   依度は高まっている。昔との違いは、サリンを作るような施設がない点だけです…
   今もアレフが勢力を拡大している事実を深刻に受け止めないといけません。」


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◆歴史が繰り返されないために、社会全体の関心を


今回は、アレフが、弁護士を殺害するなどの暴力事件はないと思います。
なぜなら、アレフの教義では、殺人を正当化できるのは、
最終解脱者の麻原だけだからです


次の記事に続きます。