3月7日、快晴。
青空は高く、澄んでいなければならないというのならば、この日ほどおあつらえ向きな日もないでしょう、ってくらいのいい天気でした。
こんな日にお出かけしないのは愚の骨頂、こんな日にお出かけせずしていつお出かけする?
いや、お出かけしなければもったいない!
え?花粉?
そんなの知ったこっちゃないぜ!
今月いっぱいで関西からはアリーヴェデルチ!なので、関西で行きたいところは全部行ってやるんだ!
ということで、ちゃんと午前中に起床して出かける準備をしました。
さて、じゃあどこに行こう?と思案。
いろいろ悩んだ挙句、結局決まった行き先は奈良でした。
奈良はボクが小学校の修学旅行で行って以来、実に10年以上も行っていない場所でした。
奈良もまた、京都と同じように歴史ある街です。
歴史好きが高じて京都に来た身ですんで、関西の歴史ある街には行っておかなきゃ!という焦燥感にかられて奈良行きを決定しました。
自称“奈良は自分の庭みたいなもの”と豪語するYさんと、近鉄で奈良へ。
午前中ややグダグダしたせいで奈良についたのは1時半過ぎでした。
奈良についてから、まず奈良公園内を散策。
奈良公園のシンボルともいえる五重塔や猿沢池、鹿を見たりして小学校の修学旅行の記憶を思い起こし、少々ノスタルジーに浸ってしまいました。
↑興福寺五重塔です、夜はライトアップされていてなかなか荘厳ですよ!
↑奈良の鹿、公園内の至る所にいる。ちなみに鹿せんべえはうす味であまりおいしくありません。
あまり奈良公園内でゆるりとしていると、時間があまりないことに気がつき、東大寺や春日大社は諦めて一路ボク達は新薬師寺へとむけて歩き出しました。
新薬師寺、これが今回の奈良遠征の最大の目標である。
忘れもしない、あれは高校2年生の時。
日本史の資料集で、新薬師寺にある十二神将の写真をみたとき、ボクは衝撃を受けた。
こんなにも雄々しく美しく、さらに力強いその像にボクは完全に心を奪われてしまったのだ。
かっこいい・・・十二神将の造形美に、当時のボクは感嘆のため息をはいていた。
そしてボクは決意したのだ、いつか必ずや自分の目で十二神将を見る!と。
そんな理由がありまして、今回の奈良遠征では新薬師寺の拝観は絶対に欠かせたくはなかったのです。
新薬師寺は奈良公園から歩いて20分以上はあろうかというほど離れていたので、他の拝観は諦めて新薬師寺へ行きました。
全ては十二神将と対面するために、ボクの5年間の思いを果たすために。
ボクのわがままにお付き合いくださったYさんには言うべき感謝の言葉も見当たりません。
閑静な住宅街を通り抜け、ようやくにしてボク達は新薬師寺にやってきました。
新薬師寺は極めて静か且つ目立たないところにあるせいか、寺の中は人もまばらでした。
でもそんなことはどうだってよかったんです。
5年間見たいと思い続けた十二神将にようやく対峙することができるのですから。
はやる気持ちを抑え、十二神将の安置されている本堂に入る。
薬師如来の周りに円を描くように立つ12人の神の将軍、十二神将。
それぞれが法具や武器を手にした躍動的な姿で描かれていて、気圧されるほどの迫力ある雄々しくも美しい像です。
初めて生で見る十二神将の迫力に、押し潰されそうになる錯覚を感じるほどの逼迫感。
ほぼ人間と同じようなサイズなのに、それ以上に大きく感じる威圧感。
ジョジョ立ちを思わせるイカしたポージング。
十二神将を作った仏師の魂を感じました。
↑十二神将のリーダー格のバザラ大将。
新薬師寺にある十二神将が作られたのは、今から約1200年前の天平の時代。
十二神将を作った仏師が誰なのかは、いまだに解明されてはいません。
しかし確かなのは、1200年前にこの像を作った人物が存在していた事。
そして1200年たった今日も、こうしてボクのように十二神将をみるために足を運ぶものがいる事。
十二神将を作った仏師は、自らの魂をこの仏像に刻み込み、目に見える形で残したのではないでしょうか。
彫刻なり、音楽なり、絵なり、色んな形はあると思うけど、優れた人間は自らの『魂』を具現化できるのだと思う。
それはそしてそうやって魂を具現化したものは、時は流れてもいつまでも人を惹きつける魅力を持ち続けるのではないかと感じる。
いわゆる「芸術の美しさ」ってのはそういうことなんじゃないかな?って思います。
魂のこもっていない物が、何百年何千年も人を惹きつけているなんて土台無理な話ですもん。
な~んて、マジメ語っちゃって馬鹿みたいですね、ボク。
新薬師寺に参観時間ギリギリまで居座ってから奈良公園に戻り、白梅をみたり春日大社まで歩いたりしていると夕闇が押し迫ってきました。
疲れたのでそろそろ帰ろうか、と思い近鉄の奈良駅に向かう途中、小学校の時の修学旅行で泊まった旅館を発見してテンションが上がったりと、今回の奈良観光は興奮しっぱなしでした。
帰りの電車の中では、かなり歩き回ったのでさすがに疲れたのか、Yさんもグッタリしてはりました。
すいませんね、多分退屈だったでしょうし。
機会があれば、もう一度奈良に行きたいと思います。
今度はちゃんと東大寺や法隆寺、興福寺の博物館で阿修羅像を見たいものです。
あ~もう、見たいものってキリがないなこりゃ。
でも今日は時間がもう遅いし帰るしかないですね、さようなら、奈良。
スピード・ワゴンはクールに去るぜ。