珍しく、起きているのに、目眩のような睡魔に襲われている。



 昨晩が嘘のように、青く高く澄み渡っていた空には、いつの間にか綿菓子のような、雲が広がっている。


 それでも、レースカーテン越しにも、透けて見える程の陽の光。

 リビングが南向きに位置している部屋の中は、夢の中のようにあたたかい。


 ――実際には、そんなあたたかい夢なんて、見たこともないというのに、どうしてかそんな風に感じる。




 穏やかに流れる時間は、どこか現実味がなくて。


 同じ部屋にいる、我が子の存在感だけが、私にこれが夢でないことを伝えている。




 とてもとても眠いのだけれど。

 ここで眠ってしまったら、もう起きられなくなってしまいそう。



 うっかりこの誘惑に負けた時はいつも。

 目覚めてからしばらくは、ぼうっとあたりを見つめてしまう。



 夢から夢へ、移動した訳ではないと、確かめるように。



 ひだまりで眠っていた猫が、ふと目を覚まして。

 しばらく、じっと遠くをみつめている時は、もしかしたらこんな感覚なのかな。