夫が国へ帰る日。





ジアゼパムを
内服するようになってからというもの、
もともとお酒のせいでよろしくなかった
夫の記憶はさらに悪くなり。
わたしが仕事に出かけていても、
何故わたしがいないのかと電話してくることが
よくありました。





なので、
1人で電車で出かけると
決まって迷子になるようになっていました。






まぁ、日本語は
象形文字のようだと言っていたので
文字やアナウンスから駅名認識するのが
難しかったのだと思います。
とは言っても今は英語でも
駅名が掲示板に出るようになっていますよね。
注意力がお酒とジアゼパムのせいで
低下していました。
なので落し物や物を無くすのが
常になっていました。





ジアゼパムを飲まなかった頃は
自制心があったので
遠くに行く時はわたしについてきて欲しいとか
行く前に行き方を聞いてきたりしたものでしたが
ジアゼパムって本当に怖いお薬。
ジアゼパムが効いていて、
かつお酒も入っている時の主人は
ヘロヘロなくせに怖いもの知らず。
なんなら普段よりもアクティブになり
動き回ります。






なので日本を経つ当日は、
迷わず確実に空港へたどり着けるよう
わたしの父が彼を空港まで連れていき
保安検査場へ向かうところまで
見届けてくれました。









彼の国では
日本のように
簡単にお酒は手に入らないというか、
コンビニはあるけれど
コンビニにお酒は置いておらず
限られた所にしかありません。
夜間、
アルコールは手に入らないようになっているし。





しかもお酒、高いんですよね。
日本では何百円でワインが1本、
安いものであれば買えてしまうけれど、
そんな安いワイン彼の国にはありません。





タバコも日本の何倍もするし、
ドラッグも手に入れやすいし、
ドラッグに、日本ほど厳しくない。
御手洗に針すてBOXがあるくらい。





なので、彼の国には
彼のような問題を抱えた人が日本より大勢いるし
その辺の医療も日本より進んでいるし
依存症であることを
みんなオープンにしているし、
そんな人たちに対して、
日本の人ほど偏見はないし
優しく接してくれる印象です。





それに母国語で治療が受けられるし、
そんな理由からわたしは
自分の国で治療を受けて欲しいと思ったのです。






その間わたしはと言うと
治療に専念できまして、
ほぼ元通りまで回復することが出来ました。
ステロイドのせいで、
びっくりするほど増量してしまったのですが
彼が日本を離れるまでは
体重が減っていたので
彼が治療を受けてくれてほっとしたのも
あったのかもしれません。