前回、頭痛が痛い的な記事を書きましたが、まさかの細菌性大腸炎でした。だいぶよくなりましたが、外で売ってたお弁当にあたったみたい。皆様もお気をつけて…
毎度恐縮ですが下記、本日もご協力をお願いいたします!
7/21よりアルケミークリスタルがエントリー中の「石橋楽器主催 あなたがスターだ!バンドコンテスト7」の一般投票が開始されました。
1日1票投票できるので、是非よろしくお願いいたします!
http://www.ishibashi.co.jp/band/vote/11059
さてと。
皆様、怖い話はお好きですか?(ニヤニヤ)
どんなものが怖いですか??(ニヤニヤ)
私は、ホラーを見たり読んだりするならば、何か「途方もないもの」や「得体のしれないもの」の話が好きだ。幽霊とかモンスターとか大量殺人鬼のような目に見えて何かが襲ってくるような話ではなく…異世界旅行とか、はた迷惑な古代の遺物とか、異教の神々の祟りとか、そんな類のものである。
例えば、ジョジョで言えば「そのうちカーズは考えるのをやめた」の文にぞっとするあの感じ。
あとは、

この写真を見せられて、「この柱、高さ350光年(=3京325兆キロメートル)あるんだよ」と言われたときに背筋に走る謎の恐怖と興奮。
※オリオン座の暗黒星雲、通称馬頭星雲の写真
…共感してくれる人、いませんか?
そう、この感覚を的確についてくるジャンルこそが、ご存じコズミック・ホラーである。
そしてそのコズミック・ホラーの代表格といえば、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトとオーガスト・ダーレスを中心に数多の作家たちによって築き上げられてきた架空の神話体系、クトゥルー神話だ。
※前置き長いとか言っちゃダメ
とはいってもここはメタルブログ、コズミック・ホラーが好きな人がそう多いとも思えないので、仲間を増やすべく澁澤は勝手に立ち上がるわけである。
まず、クトゥルー神話とはどのようなものか。
簡単に言うと、はるか昔、地球は旧支配者や旧神、外なる神と呼ばれる我々の知らない強大な存在があった。そして、この太古の神々は基本的に不気味で凶暴である、という内容だ。
ストーリーの多くは、何かに興味を持った主人公が真相を探るうち、想像だにしない恐ろしいものに遭遇するという形。真相にたどり着いてしまった場合、あまり無事で帰れることはない(ホラーだしね)。そのためか、「こんな手記が残されていた」という形になっていることが多い気がする。
そうは言っても、最初から神話として体系化されていたわけではなく、一連の作品群を神話として体系化したのは元々ラブクラフトのファンだったダーレスである。
私はダーレスの作品はあまり読んだことはないのだが、ラブクラフトの作品は神話に沿って書かれたというより「人間の理解を超えた、混沌とした異空間・異次元の恐怖を、対象の詳細を明らかにしないままいかに文章の力で伝えるか」というところに心血を注がれているように感じる。
旧支配者と旧神はまったく別個のもので、ラブクラフトの作品では旧支配者と外なる神による恐怖と混沌の世界のみが繰り広げられていたのだが、旧神はダーレスが旧支配者と対立する善の存在として登場させたものである。ダーレスはゾロアスター教のアフラ・マズダとアンラ・マンユのような世界観を持っていたようで、邪悪なる旧支配者は善なる旧神と戦って敗れ、現在は旧神によって封印されているのだというストーリーを展開させた。
故に、旧支配者にかかわるとロクなことがないが、旧神は人間を助けてくれることも多々ある。そして、この二つのどちらにも属さない形で登場する神々は外なる神と呼ばれる。
特に面白いのが、旧神ノーデンスと外なる神ナイアーラトテップの対立だ。
ノーデンスは、夢の世界で地下深くに広がる「偉大なる深淵」という暗黒世界を治める王であり、旧神の中でも特に人間に好意的とされる神だ。というか、元々ラブクラフトに出てきた神々の中で唯一主人公を助けてくれたため、旧神の一柱(というか代表神)に加えられたものである。
ナイアーラトテップは「無貌の神」。基本的にはこっちからちょっかい出さなければ動かないクトゥルー神話の神々の中にあって、ほぼ唯一向こうから積極的にちょっかい(=死・発狂・永久放置等)出してくる危ない神様だ。ろくでもないプレゼントをくれたり、言葉巧みにひっかけてきたりする。澁澤お気に入りの神である。
ちなみにナイアーラトテップはニャルラトホテプとも読む。つまりアニメ「這い寄れ!ニャル子さん!」のニャル子さんである。ニャル子さんは真尋を守ってくれるけなげな美少女だったが、ラブクラフト作品ではそうはいかない。前述のとおり守ってくれるわけがないし、調べていただければわかるとおり、かなりグロイ。変幻自在なのでニャル子さんの姿にはなれるのかもしれないが、ナイアーラトテップは「万物の王である盲目にして白痴の神アザトホース」の「息子」。ニャル子さん、男の娘なのだ…かわいいからいいけど。
そんなわけで、クトゥルー神話の中でもそれぞれ異色の存在で、しかも対立しているために、この2神が両方に出てくる作品はスリリングで面白いものになりやすい傾向がある。したがって、クトゥルー神話を読みたいならまずは「超時間の影」をオススメするが、2番目あたりにぜひ「未知なるカダスを夢に求めて」を読んで欲しい。あまりラブクラフトらしい作品ではないが、夢現の独特の世界観とSFの王道的なスリルが同時に味わえる。
さて、ここまででで推定読者数60%減といったところとは思うが、最後に澁澤一押しラブクラフト作品ベスト3を発表して結びとさせていただきたい。
3位!『エーリッヒ・ツァンの音楽』
美しい恐怖作品。本当は1番好きかもしれないが短編な上にクトゥルー神話なのか微妙なので自重した。地図にない街で出会った音楽家の老人とその恐ろしい壮大な秘密の物語。こんな街に、行きたくないけど行ってみたい。そう思わずにはいられない。個人的にはメロスピファンにこそ読んでほしい!
2位!『霧の高みの不思議な家』
恐怖というより、切ない物語。美しい物語で、誰も苦しんでいないはずなのに、読後感が絶妙に落ちるという悪魔の所業というべき作品なので要注意。ノーデンスが登場するが、ポセイドンとか普通の神様も出てくるのが面白い。
1位!『インスマウスの影』
ベタでごめんなさい。読んでおいてまず損はない、ラブクラフトの代表作の一つ。本当は『超時間の影』と迷ったのだが、「初めて読んだ補正」でこちらを選んでみた。全体的にじとっとした薄暗さを帯びた文章でつづられる、忌み嫌われた街の不思議譚。救いはないかもしれないが、絶望的な結末の多いラブクラフトの中では比較的穏やかな作品だろう。
それではおやすみなさい、カダスで逢いましょう!