08/06 カミーノ歩き旅 28日目の出来事 その6
食事を終え、いざ100km地点へ
なんて歩き出すも
2,3km進んだところで・・・
またBARを見かけスタンプ欲しさに
ふらふら立ち寄ると
最初のころから時折、顔を合わせる
アメリカ人(カリフォルニア・ヒスパニック系)
の夫婦に再会
私も学生時代にカリフォルニアのオレンジカウンティに
しばらくホームステイなんかしていたこともあり
ちょこちょこ宿で会ったりしたときには
話をしたりしていたんだけど
だんなさんの方が途中から足をマメでやられ
途中で何度かアドバイスをしたり
(北海道歩き旅で私が陥ったような状態だったのよね・・)
久々に会ったなんてのもあり
(記憶がたしかなら巡礼16日目、ヤコブの日以来)
お腹は食べたばかりなので減っていないから
アイスクリーム食べながら
足の状態を聞いたり
犬連れ巡礼者のオーストリア人(ニッキー&トーマス)
(随分・・会ってないよね・・・私も気にはしてるけど
まぁ~巡りあわせ)
たちの噂話なんかをしていたら
ヤコブの日に出会い、アストルガで再開以来
会っていなかった
乞食巡礼者が最初は私に気がつかずに
店内に寄進を求めて入っていった
テラスの席からガラス窓の中の店内の様子を
見ていたが店員にも食事中の他の巡礼者にも
断られた様子
店の外に出てきたところで声をかけると
テーブルが微妙な雰囲気に
他のテーブルに私が移り
彼の好物のホットチョコレートをオーダー
しばし彼の話を聞き
微妙な空気の漂う店を立ち去ることに
歩きながら話を聞く
容易に推測が立つことなのだが
とにかく・・彼の巡礼は孤独だ
時折、私に話をしているのか・・
独り言をつぶやいているのか・・
話の筋が見えなくなる
半壊している・・そんな感じ
これだけの荷物で巡礼を続けていることも
驚異的ではあるのだが(足もサンダル、着替えなし)
一度も生まれ故郷(オーストラリア)
に帰らずに4年も各地を
放浪しているんだからね・・・
これが彼の物質的な全財産な訳だ
私には・・・マネできない・・・
そんな彼に100km地点での記念撮影を頼んだ
なんか・・・マジックで100kmって書いてあるし・・
後ろはゴミ箱だし・・・
これ・・?ホンモノか?なんて未だに思ってるが
どこかで100km地点を越えたには違いない
その後も巡礼4回目っていう
彼に100kmを超えての心境を聞いたり
過去の巡礼の様子や、その時との心境の変化
なんかを聞きながら
時折・・
一人ブツブツ呟く
彼の背中を追いながら
サンチャゴまで二桁に到達
どうにも話がメチャクチャで
「オレはトゥーマッチ、オープンなんだ」
なんて言うんだが
話を聞いていると
「イスラム教徒は敵だ!」とか「黒人は人間じゃねぇ!」
とか・・・
発言が激しく偏る
4年の放浪の間には私には想像もつかない事態が
あったのでは・・・あろうけれど
カミーノ4回目であろうとなかろうと
人としてオマエ問題あるだろ~が!
「あと10回カミーノ歩けやっ!ボケっ!」
て言葉には出さなかったが心の中で私も呟いた
恐らく開いたってのはドラッグを使用での
急激な周囲の状況を省みないオープンだったんだろうね
開くことは素晴らしいんだけど
無防備にもなるわけで
相手もオープンな状態でないと危険極まりないんだよね
彼を見て話を聞いていると
手段の是非は置いといて、開いたのは間違いなさそうだが
それゆえに深い部分が傷つき
そして捻じ曲がった・・・そんな風に感じた
因果応報・・・そんなことを強く考えさせられた
小さな祠のような教会を見つけ
サンチャゴまで教会には入らないという彼を外に
一人、中に入り
鳥かごに入ったようなマリア像を眺めながら
開くことの素晴らしさと
自分自身の心の防衛ということを考えた
例え開こうとも周囲のことが見えていなければ
それは意味をなさないどころか
自分自身を破壊してしまうことに繋がる
急激な変化に人間の心は容易く
ついていけるものでは無い
ゆっくりと垣根を低くしていき
状況に応じて盾を使い
時に剣を握ることも
現代の世の中では必要なのかもしれないが
(現代社会の中で一人素っ裸になったところで
周囲は受け入れてはくれませんものね~)
傷ついた心もまた時間をかけ、磨いていけば
傷が癒え輝きを取り戻すであろう・・
小さくはなるが輝かない心よりはいい
そんなことを考え
また彼の元へ
サンチャゴの100km先フィニエステーラ
そこは、かつての世界の終わりの場所であり
死と生の境目の地
西の果てに沈む夕日に古い自分に別れを告げ
生まれ変わる場所だという
巡礼4回目の彼に、その地に行った事があるか?
と聞くと1度も無いという
じゃ~今回は、急ぐ旅でもないだろうから
訪れてみたらどうか?私も行ってみるつもりだ
と告げ
しばらく昔の巡礼の話なんかを聞きながら
歩き
宿探しに入るも
満室続き
これは・・ポルトマリンまでいかないと
もうダメか・・・
もしくは彼とキャンプかなぁ~?なんて
思っていると
ポツンと小さな小さな村にBAR
16:00時ごろ
ひとまず休憩と思い
中を覗くと
宿探してるの~?と黒人の店員さん
「え?!ココ泊まれるの?いくら?」
「ご飯食べるならタダでいいよ~」と・・・
!!!
「はい!お願いします」と私
彼は黒人を見て・・店の外へ
飯くらいは奢るつもりでいたのだが
「オレはココに泊まるがオマエはどうする?」
と聞くと
「・・・・」
「ポルトマリンまで歩く」と
「ブエン・カミーノ」
相変わらずブツブツ呟きながら
立ち去る彼の背中を見送り
黒人のお姉ちゃんに案内され
レストランを抜け
その裏の建物へ
見事な・・・タコ部屋
でも使い捨てシーツとマクラカバーをくれた
外の狭い空き地にはテントもいくつかあり
聖年の混雑で宿にあぶれた巡礼者のために
とにかく寝床を増やし受け入れている様子だった
でベッドに案内される際に
私がしていたペンダントを見て
「ペドロ?」と・・お姉さん
肯くと
「また歩いてるのね~」と
前にも聞いた台詞である
ほんとにペドロの爺ちゃんは有名人だなぁ~
なんて思ってたら
タコ部屋の中でもたぶん・・最高にいい場所の
端っこのベットに案内してくれた
ありがたい
夕食までの間に洗濯とシャワーを済ませ
タコ部屋で
しばしゴロリとのんびり
日増しにスペイン人の割合が増え
宿で知り合いに遭遇することも減ってきた
日焼けの仕方や足の状態で
大体どの辺りから巡礼を初めたか
見分けがつき始めていることに
我ながら驚く
恐らく巡礼を始めたばかりの人には
ここはツライのか何人かは
中を覗いてそのまま立ち去っていった
レストランのほうにバックパックを
忘れてどこかにいってしまった
巡礼者もいたようだ・・・
19時半ごろレストランが空いているのを
見計らいサッサと食事
レストランだけあって巡礼食も充実
値段の設定も2,3種類あった記憶があるが
メモに記載忘れで・・・定かでない
肉!とご飯!を頂き大満足
値段も普通でした・・・
宿付きですし・・・・
いい場所が見つかったのは・・
ペドロのおかげかなぁ~なんて
感謝しつつペロリと
デザートにパンも平らげました
食後は
外でカリンバなんかを弾いたり
なんとなく座禅を組んでみたりしながら
時間をつぶす
外が寒くなってきたので
BARで私としては珍しく
ビールなんかを飲みながら
一人サンチャゴまで100kmを切ったことに
祝杯をあげるも
更に先100kmのフィエステーラに想いを馳せ
22時就寝!
昼寝とかしてた・・巡礼者が
また早朝からうるさいかもなぁ~なんて
想いつつ寝袋を被る
08/06 45,559歩 28.2km
累計 1,310,623歩 810.8km
DAY31-1 朝靄の中、ぼんやりと へつづく
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