こんあいば。
ハワイ嵐も華麗にスルーしております。
行けるかッ!
嵐は行きたくてもなかなか叶いませんが、フツーのイベントは苦労せず行けます。
国内でムラムラする博物館•美術館展が目白押しの今年、まずひとつ制覇してきました。
上野の東京国立博物館で開催中の、國立故宮博物院展です。
中学高校と社会が好きで大学は社会学科を出たくらいですが、
一番好きなのは人文地理です。
自然地理も好きだけど、記憶力がパーなので得意ではなくて。
その土地に何があってその上で人間がどんな営みをしてきたか、知るのが楽しかった。
歴史と似てるんですけどね。
歴史は年が軸で、人文地理は土地と人間が軸の学問かしら。年の流れで俯瞰するわけじゃないんだよね。うまく表現出来ないけど。
さて、大学で人文地理をやりたい!と思っても、マニアックな学問でもありなかなか該当学部がありません。
国公立大にはあったのですが、パーなものですから壊滅的な数学と理科で共通一次を受けられるわけもなく(懐かしい響き)。
ジタバタした挙句私立専願にしたのが、高3の6月…ええ、遅いですがなにか。
私立には地理で受けられる大学がほとんどない!と知ったのが高3の6月…
大キライな世界史を始めたのが、高3の6月…
ええ、放任高校ですがなにか←高校のせい
ずーっと歴史の先生がハズレばかりで←先生のせい
歴史が楽しいなんて思ったこと無かったんだけど、
人間、背水の陣てのがほんとにありますな。
後が無かったから必死でした(ビンボーだから浪人不可)。
そうしたら、3年の世界史の先生だけ、奇跡的に素晴らしい先生で。
世界史に取り憑かれました。
中でも、鹿鳴館時代ばりに西欧かぶれのワタクシが、中国史に大ハマり!
スケールのデカさ、漢字の難解さ(しまいには覚えるのが趣味に)、他のどこの国とも違う魅力を感じ。
王羲之に取り憑かれたのもこの頃です。
大陸の気質ってのがあるんだよね、きっと。というより、島国気質が特異なんだろうな、イギリスしかり。
漢民族だけでなく、モンゴルなどもっと北のほう、匈奴などの遊牧騎馬民族にえもいわれぬ魅力を感じました。
寒風吹きすさぶ荒れた草原の地で自由自在に馬を操り、自然の一部のように生き、何者にも支配されない精神を持ち、漢民族を恐怖に陥れる強さを持つ遊牧騎馬民族。(あくまでも私のイメージ)
漢民族は、万里の長城を作っても作っても、その襲来が怖かったんですね。どれだけ恐ろしかったか、万里の長城が証明してます。
有名なモンゴルのフビライ(今はクビライって言うみたいですね。今日のパネルは全部クビライでした。)が建国した元を皮切りに、しばらく北方の、満州族の支配が続きます。
すっかり忘れてましたが、故宮のコレクションの主役である清の康熙帝も満州族出身だそうです。
満州族出身の皇帝が人数の上ではるかに勝る漢民族を治めるのは大変だったそうで、長い長いあの土地の歴史を尊ぶことで正当な後継者と証明し、己の立場を確固たるものとしたそうです。
昔のものは破壊して捨て去れ!今の朕が全てだ!これから作るのが文化だ!
なんて、チンケなことを言わないスケールの大きさ。
そもそも国自体が、チンケなことを許さないほどのスケールなんですよね。広過ぎる土地、雑多過ぎる民族。
ただ広いというだけでなく、他国や他民族と地繋がりであり、何も仕切りはないのに一足踏み込むと異世界、そのくせ境は混沌としている、という事実が、スケールの大きさを生み出しているような。
いくら考えて理解しても、決して日本人には肌で分かることは出来ない感覚なんでしょうね。
いや、それが故宮博物院展になんの関係がって話なんですけど、
康熙帝をはじめとする清の皇帝が中心となり、己の立場を確固たるものにするため、中国4000年の歴史から神事に利用する鉄器から陶器や磁器、書、絵画、刺繍、玉、彫刻などありとあらゆる超絶技巧の品を集め、また模倣して作らせた。
それが一堂に介したのが、故宮博物院なんですね。
…とサラっと言いたいところですが、北京にも故宮博物院はあります。
蒋介石が台湾に移る時お宝のほとんどを持って行ったと言われており、台湾と中国本土に宝が分割されてしまったそうで。
台湾故宮の方が、お宝が多いと言われています…
歴史の重さを感じます。
飛行機恐怖症で3時間以上乗るのがコワイだんなのため、ハネムーンは台湾でした。
初めは、えー!ヨーロッパ行きたい!と思ってましたが、台湾に行って本当に良かった。王羲之のブログでもちょっと触れたけど。
故宮に二日間費やしましたが、全然足りませんでした。
王羲之探して右往左往はともかく…
何より魅せられたのが、青磁。
美しいのひとこと…淡い空色、完璧な造型。
吸い込まれるような静かな魅力をたたえて、北宋の時代から1000年以上変わらずに存在している。
どれだけの人々がこれに魅せられ、どれだけ大切に受け継がれてきたか、考えるだけでワクワクします。
また、このひとつが生まれるために、どれだけの青磁が壊されてきたか。
作者の名前が残るわけではないのに…
ヘタなものを献上出来ないこともあるでしょうが、納得出来ないものを後世に遺せない、という職人の気持ちが大きいのでしょうね。
今回、青磁との再会を一番楽しみにしていましたが、来日はたった数個でした。
なんでよ!と思いましたが、私が魅せられた青磁は『汝窯青磁』という北宋時代の最高級も最高級のもので、全世界で70点余しか現存していないそうです。
お目が高過ぎたか ←
でも、記憶の中の通り、本当に美しかった。
お約束の音声ガイドを買い、説明を聞いて今回恥ずかしながら初めて知りましたが、この空色は『雨上がりの空』を目指して作られているそうで。
ああなるほど、本当に雨上がりの空のようです!
でもそれは、今の我々が想像する日本の空ではなく、1000年前の、空気を汚すものなど何もなかった時代の、遮るものなど何もなかった時代の、どこまでも続く草原の、土の匂いのする雨上がりの空色…
どんな色だったろう。
どんな匂いだったろう。
今の私たちが決定的に、永遠に喪ってしまったもの。
それを伝えてくれる古の人々に、首をたれずにはいられません。
興味がある方は、ぜひ検索してみてくださいね。そしてナマを見てほしい。
うっとりする色と、恍惚とする滑らかさです。
いくら書いても終わりませんので…
このくらいで今回は。
今回のアジア初の故宮博物院展は、素晴らしかったけれど見たかった青磁と景徳鎮の白磁はちょっと少なく…やはり焼き物はおいそれとは移動出来ないのかなと思いました。
やっぱり台湾行かないと!
20年ぶりに家族で行こうかな?と思わせてくれた、美術展でした。