チョコレートを魂へ贈ろう
バレンタインデーが近づくと、人間関係、特に親しい間柄へと気持ちが向かいます。
今のパートナーとの関係に満足している人も居れば、苦しんでいる人も居るでしょう。
人生を共にするパートナーを切に願う人も居れば、一人が気楽でいいと思う人も居るでしょう。
ですが、ここで、いずれにおいても、考えてみたいことがあります。
それは、「どうすれば、素晴らしい関係性を生み出し、保っていけるか」ということです。
コーチングセッションでは、今の関係性に留まるべきか、去るべきかで悩んでいるクライアントに多く出会います。
そんな時、私は彼らに問いかけます。
「留まるべきか去るべきかではなく、どのように留まり、どのように去るかのほうが重要ではないでしょうか」と。
私たちは人間関係を「体験」ではなく、「形」として捉え、判断しがちです。
もし留まるのであれば、愛と共に留まりましょう。
そして、もし去るのであっても、愛と共に去りましょう。
人生を恐れや怒り、罪悪感に乗っ取られてはいけません。
そこに「愛と共に」の気持ちがあれば、あなた自身にとっても、パートナーにとっても、関係性と、それぞれの人生において大きな違いが、生まれてくるにちがいないのです。
クライアントの一人、バリーは、『奇跡のコース』をとても熱心に学んでいる生徒でした。
ある時、彼はこう語ってくれました。「本当にいろいろあったけれど、妻とは離婚することにしました。そして、先日二人で、調停人のところへ行き、財産分与を含め、法的な手続きの依頼をしました。互いが合意に達して、話し合いが終わった時、とても驚いた調停人から、私たちは言われました。『私は、もう何年も離婚調停の仕事をしていますが、こんなにも穏やかに、すんなりと結論に達したことは今までありませんよ』と。
真実に従って物事に携わる時には、奇跡とは自然に起こるものだと、きっとバリーは信じていたのでしょう。
例えば、ある関係性の形や体裁において、うまく行っていないと感じる時は、その関係性がどのようなものかではなく、それがどう見えるかに気持ちが向き、真実から逸れているかもしれません。
戸籍上の結婚や、同じ屋根の下で暮らしていても、二人が「一緒に居る」わけではありません。
誰かのそばに横になっていても、心が数千マイルも遠くにあることもあります。
日本では「同じベッドで、違う夢を見る」と言うことがありますが、空虚な心を持ちながら、人間関係の「形」を保ち続けることほど、孤独なことはありません。
反対に、愛する人と数千マイルも離れていても、完全な繋がりを感じられることもあります。
彼らを思うだけで心が高鳴る時、また実際にそんな彼らに会う時、時間の存在さえも消えてしまいます。
つまりは、人間関係が築くのも壊すのも、肉体ではないのです。全ては、ハート、あるいは、魂なのです。
離婚届や「お別れ」も、関係性の終わりを真に意味しているわけではありません。
もし、魂の契約のもとに、お互いの成長を助け合うと決めているなら、二人は感情的に繋がり続けることでしょう。
ハワイには、「アカの繋がり」と言われる、人々を心理的に結び付け続けているエネルギーや引き合う力のようなものがあります。
場所を離れても、この「アカの繋がり」は切ることはできません。
問題を癒し、より深く相手を愛することでのみ、「アカの繋がり」は切ることができるのです。
私は、この「アカの繋がり」を全うするまで、結婚と離婚を5回繰り返したカップルを知っています。
魂の契約とは、生まれる前に、自分の霊的な成長を助けてくれる人と結んだものです。
優しさや無償の愛を通して、あなたの成長を助けてくれる人も居るでしょうし、反対に試練を通して、成長を促してくれる人も居ます。
そして、ほとんどの結婚は、その二つの要素を同時に持っています。
「損を数えるのが上手な人は多いが、得を数えるのが上手な人はとっても少ない」という言葉を聞いたことがあります。
人間関係の学びをマスターするためには、深いところで、相手へ感謝の気持ちを持てなければならないのです。
今、目の前の関係性に難しさを感じているのであれば、もしかしたら、あなたはうまく行っていないところばかりを見ているのかもしれません。
あるいは、相手を変えようとしたり、相手が変わるのをただ待ってはいませんか。
ある女性をコーチングした時の話をしましょう。
その女性は、かなり危険な高血圧の症状を治療し、退院したばかりでした。
家に戻ってからも治療を続けてはいましたが、あまり良くなってはいませんでした。
「あなたの人生で、極端にプレッシャーを感じることや、自分にプレッシャーをかけていることはありませんか」と尋ねると、「夫の行動を正そうとして、いらいらしています」と彼女は答えました。
そして、私たちはこんな会話をしました。
「それはどのぐらい前からですか」
「五十二年前からです」
「過去、五十二年かけて、正せなかったご主人の行動を、あとこの先五十二年かけて、正せると思いますか」
「いいえ」と彼女は認め、「今、そう思い始めたところです」と言いました。
バレンタインデーを真に心高まる日にしたいなら、パートナーや周囲の人について感謝していることをリストにし、その人たちに向けて、読み上げてはいかがでしょうか。
そうすれば、この日は花やチョコレート、ディナーよりも、はるかにもっとギフトに溢れた日になるでしょう。
物質的なギフトは、数時間か一週間しかもちませんが、心からの感謝の言葉は一生響き続けるのですから。
もちろん私たちは皆、全ての人間関係がうまく行くことを願っていますが、そうとは言えないことがよくあります。
しかし、その関係性においても、私たちを楽しませてくれる「魂の成長」という、とても大きなギフトがあるのです。
もしパートナーを神聖なる教師だとし、あなたの真の幸せに必要なものを学ばせてくれているのだと思えたら、あなたはもう正しい道に居ます。
『奇跡のコース』は「全ての出来事への幸せな結果は、約束されている」と言っています。
その言葉を、あなたの最も大切な関係性にも与えて下さい。どんな関係性も、決して例外ではありません。
このバレンタインデーがあなたの魂へのチョコレートになりますように。
アラン・コーエン
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