彼らが低く飛ぶなら

高く飛べばいい

 

 

 

 

 

私たちにとって、人間関係はスピリチュアルな成長のための最適な機会を与えてくれます。

私たちはある関係性を通しては、愛と喜びの恵みを受け取り、また別の関係性においては、試練を通して、より強く賢く成長することができます。

友人であれ、明らかな敵に見えたとしても、人生で出会う誰に対しても、感謝の気持ちを持つことはできるのです。

なぜなら、たとえ敵に見えたとしても、結局はその彼らとの体験を通して、私たちは彼らから学ぶことがあるからです。

 

 

先日、不動産の売買を行いました。取引の交渉において、数回緊迫するような場面がありました。

仲介業者と話をしていた時、私も一度腹を立てて、少しですが声を荒げてしまいました。

その時、そのベテランの仲介業者である彼女は、一切動じることはありませんでした。

むしろ、よりやさしく、穏やかな声で話し続けたのです。

私の怒りとは対照的に、彼女はなだめるような、静かな癒しを持ち続けました。

そして、結果的に取引は完ぺきに進み、取引にかかわるすべての人にとってうまくいったのです。

 

 

他人が低く飛ぶのであれば、それが、まさにあなたが高く飛ぶ時です。

すべての人間関係は一致した波動の上に築かれます。あなたたちがともに何を、どのように行っていくかは、エネルギーがともにマッチした結果を示しているのです。

たとえば、誰かが怒ったり、侮辱したり、攻撃してくれば、あなたは防御したり、反対にやり返したくなるかもしれません。

しかし、そのように応じれば、ただ同じことを繰り返すことになり、誰もどこにも行き着くことはできません。

 

 

たとえ怒りを向けられても、あなたが同調することを拒めば、あなたはパワーを維持することができ、解決へと向かっていけるでしょう。

「一番恐れが少ないものに導かせよう」という言葉がありますが、自分の内側の恐れの少ない部分という意味合いだけでなく、こういった関係性におけるやりとりにも当てはめることができます。

争いを終わらせて、望む結果を手に入れるために最も必要な大きな力は、あなたが自分の中心の内なる静かな場所に居続けることで手に入れられるのです。

 

 

私の友人であるジョン・ムンディは、かつてメソジスト教の牧師でした。

ある時、彼は『奇跡のコース』の教えに出会い、そのテーマを自分の日曜の説法に織り込み始めました。彼の教区の人たちの中には、その変化を好まない人も居て、不満を言い始めました。そして、それは、結果的に教会内での亀裂に発展しました。

 

 

「その地域の司祭からミーティングへの呼び出しを受けた時、彼は私をクビにするとわかっていました」とジョンは後から思い返し、こう語りました。

「だから彼に会いに行く道すがら、車を運転しながら、私は自分自身に『防御するな、攻撃するな』と言い聞かせました」と。

 

 

ミーティングで、司祭はやはりジョンを解雇しました。

しかし、ジョンは『奇跡のコース』の教師としての新しいキャリアをスタートさせました。

しかも、それはさらに彼にギフトをもたらすものとなったのです。ジョンは、現在たくさんの書籍を出版し、成功しています。

そして、『奇跡のコース』の指導者として、権威ある立場にいて、多く人に求められています。

 

 

ウィル・ロジャーは「決して、豚と格闘してはいけない。あなたも豚も泥にまみれてしまい、それは豚の思うつぼだからだ」と言いました。

もし人々を豚として見るのに、気が引けるのであれば、「豚」を人の心のなかのある一部分を比喩しているとして考えてみましょう。あなたは、争いや分離のなかに苦しくても見返りがあるからと居続けることで、幸せであるよりも、世間的に正しくありたいのでしょうか。

私たちはそんな考え方を超えてこそ、成長し続けるのです。

万が一、一瞬足を滑らせて、ネガティブな波動に同調してしまい、相手と格闘を始めてしまったら、「優しい答えは怒りをそらす」というキリストの教えを思い出しましょう。

 

 

鷲が低い高度で飛んでいると、時々カラスがやってきて、彼らの獲物を奪おうとつついてきます。しかし鷲はカラスよりももっと大きくて強く、その翼幅もより広いのです。ですから、カラスと戦おうとしません。鷲はただカラスが届かないところまで、高度を上げて飛びます。カラスは低くとび、鷲は高く飛ぶのです。

 

 

この惑星での人生は、試練であるかもしれません。

しかし、一方でそれはとてもギフトを伴うものでもあります。

スピリチュアルにおける最良のツールは、「一番シンプルであること」に宿ります。

あなたには、マインドの一部を自分の内なる霊的な力の源へとつなげられます。

そして、内なる自分から導きを得ることもできるのです。

それこそが、あなた自身が持っている争いや葛藤を癒すパワーなのです。

 

 

アラン・コーエン

 

「くつろぎレター」7月29日号より