初恋の彼に今更会ったって、もう全然大丈夫って思っていた。

一次会では「久しぶり」なんて言って、まるで何もなかったかのように会話をして、周りも気に留めないくらいただの同級生を演じられるはずだった。

二次会のカラオケでは、当時の流行りの曲も歌えるし、なんなら周りに振って盛り上げることくらいお手の物のはずだった。

どっちも、周りから観たらきっとそう映っている。

実際の私の心の中は、初恋の彼が視界に入っただけで慌てふためいて、初恋の彼が近くで会話に参加してきては、下手なことを言わないようにささやかなほほ笑みと頷きをするくらい。

場を回すって何。ってな具合。


そんな彼とは15年前、同窓会で再会した。25歳の時。

同窓会は5年おきで、20の時にそう決まった。

学年の幹事の男子(もう子供じゃないよね)が、その場で「5年おきに同窓会しまーす!」と公言したからだ。


その日、初恋の彼はいなかった。理由は忘れた。ただ、一番会いたくない人がいなくて安心した。

初恋の相手だし、きっと私を好きじゃない人。向こうも会いたくないに決まってる。つまんない気持ちになるくらいなら帰ればいっか。と思っていたら、彼のほうがいなかった。


25の時は、いることに気がついたけどしばらく遠くにいた。

私は、11歳のまだ幼さの残る小学校6年生の夏に、彼に恋をした。

一目惚れだった。同じ社宅に、見たことがない子が歩いてきて、ふと目が会ったときには、もう恋に落ちていた。多分ね。

新学期が始まり、そんな見覚えのある彼が教室に立っていた。

「成瀬 拓」

少女漫画みたいな名前。きれいに並んだ齒。個性的な耳の形。どれをとっても、私の神経に触れる。ざわざわして落ち着かない。もうすでに、大好きだった。