先日、数年ぶりに看護師の友人に会った。
彼女は、私が新たにプライベート看護を提供する会社( 在宅看護のアラジンケア )を立ち上げたことを知り、貴重な休日の午後を使い訪ねて来てくれたのだ。
前職で一緒に仕事をした看護師さんで、懐かしく時間が経つのも忘れて話しこんだ。
私は看護師になって30年以上、在宅看護の現場に立って約15年になる。
振り返れば数えきれないほど多くの看護師の方々との出会いがあった。
大きな組織を辞めた今、これまで私は彼女たち一人一人とどう向き合ってきたのか、そして今後どう関わっていきたいのかと、日々考えている。
なぜか。
それこそが小さな会社(組織)で、私が大事にしたい根幹となる部分だと思うからである。
前職では、会社組織に所属する現場管理者としての立場上、パートスタッフを含めて日々接点を持つ看護師さんの数は少なくはなかった。
しかし、部下を抱えながらたくさんの現場を管理しなければならず、個々の看護師さんとはどうしても一過性の関わりにならざるを得ない場合が多かった。
組織を管理する看護師と仕事をしてもらう看護師という立場もあったかもしれない。
私自身は、古い考えかもしれないが、関わりを持った看護師さんとは“末永い繋がり”を持つことを理想としていた。
「末永いお付き合いをお願いします。」
という挨拶は、私にとって決して社交辞令ではなかった。
一人一人が、様々な事情(家族、人間関係、病、経済など)を抱えながら、それでも必死に人生に立ち向かっていた。
その姿に触れた時、「この人の長い人生で何か困るような時には、いつでも役に立つ存在になろう。」と思った。
実際には彼らにとって理想的な現場ばかりではなかったし、彼らとの距離の取り方も近くなりすぎることが立場上できなかったので、望んだような成果は挙げられなかった。
それでも何らかの形で看護師の人生を応援したかったのである。
その思いは今も変わりはない。
小さな会社(組織)になった今、この15年の間に感じた『働く看護師との関係性の構築』にかかわる課題を、試行錯誤して一つでも成果を上げていきたいと思う。
相手があることに違いはなく、人生に踏み込まれたくない人も沢山いるかもしれない。
でも同じ看護師として、一人の先輩として、そして後輩として、いつでも扉を開けて「必要とされるサポート」を提供したいと思う。
看護師は、現場で看護を提供し、単にお金を生み出すマシーンではない。
理想を抱き、生身の、血も涙も流す感情を持った人間である。
この会社は、小さな、まだ帆を張ったばかりの会社ではあるけれど、
働く看護師さんに選んでもらえる会社、生涯を共に走っていける組織にしたいと思う。
友人は、今は近隣の高齢者施設で昼の看護の仕事をしており、家族との関係もうまくいっているとのこと。
それが一番である。
看護師一人一人が、人生のその時最優先するものを一緒に大切にしていきたい。