やりたい仕事がある。商品名を決める企画会議に出てみたい。
それはとても楽しい仕事だろう。さぞ面白い仕事だろう。
だってそれはきっとこんな感じに違いないのだ。




部長:だれか!わが社の新作お菓子の魅力を伝えられる、いい名前を思い浮かぶやつはおらんのか!
一同:シーーーン
部長:なんだなんだ!お前たちの新商品に対する愛はそんなものか!?
一同:・・・ヒソヒソ
社員A:いやそんな、お菓子の名前なんて適当でいいじゃないですか。うちは味で、中身で勝負しましょうよ!
部長:ばかやろう!その心意気は買うが、名前ってのはお前が思っている以上に大事なんだ!商品の名前っていうのはわが社の看板だ!商品の魅力全てが、ひいてはお前たちのこれまでの努力全てが込められるものなんだ!そんな名前が、適当でいいわけあるか!
社員A:ひぃっ!す、すみませんでしたー!
一同:・・・ガヤガヤ
社員B:確かに大事かもしれないけど、部長にああまで言われるとプレッシャーだよなぁ(ヒソヒソ)
社員C:これでちょっと変な名前なんて言ったら部長にどやされそう笑(ヒソヒソ)
一同:ガヤガヤガヤ
社員D:スッ(手を挙げる)
部長:お。なんだ社員D。何か思いついたのか?
社員D:・・・ぃちゃいました。
部長:ぁ?なんだって?
一同:ザワッ
社員E:Dさん・・ガンバッテ!
部長:もう一度、ちゃんと言ってみろ!
社員D:甘栗むいちゃいました、はどうでしょう?
一同:ザワザワザワザワ
部長:なんだと?甘栗・・・むいちゃいました??お前・・・正気か?
社員D:はい。私は至極真剣に提案をしています!わが社の社運をかけたこのお菓子に「甘栗むいちゃいました」という名前をつけてはどうかと、そう言ったのです!
社員E:Dさん・・(ギュッ)(※社員E人知れずテーブルの下でハンカチを固く握りしめる)
部長:・・・みんなが日夜研究に研究を重ね、ようやく出来上がったこの商品に、むいちゃいましただと?ふざけるな!何やっちゃった感出してんだよ。ちょっとしたイタズラが見つかったカツオみたいな言い方してんじゃねえよ。みんなが汗水垂らして開発した商品にそんな変な名前つけるわけにいかないだろうがあああ!!

一同:シーーーーーーン

社員B:あーぁ。だから言ったのに・・(ヒソヒソ)
社員C:Dのやつ、来月にはどっかの工場勤務決定っすね笑(ヒソヒソ)
社員E:Dさん・・・(オロオロ)

社員D:だからこそです!!(バンッ!)(※社員D机を叩いて立ち上がる)
一同:ザワザワザワザワ
社員D:変な名前だからこそですよ!当たり前の名前の甘栗にお客様の目が行きますか!?どうなんですか皆さん!あなたの(サッ)、あなたの(サッ)、あなたの!(サッ)(※社員D続けざまに三人を指さす)お子さんは興味を持ちますか!?いいえ持ちません!いくら美味しい商品を作っても、興味を持ってくれないと意味がないんです!無駄なんですっ!!ポロポロ(※社員D泣く)私だって・・・私だって我が子のような商品に、もっと立派な名前を付けてやりたいと思いますよ。でもね、それじゃ駄目なんです!部長、いきましょう!攻めましょう!これが、最善の!一手です!!(バシイイイッ)(※社員D:机に右手を強く叩きつける。手をよけたそこには甘栗がある)
社員E:Dさん・・・(ガシッ)(※社員E感極まり両手で顔を覆い大いに泣く)
部長:ふ・・ふんっ。馬鹿らしい!そんなこどもみたいな道理が通じるかっ!おまえはなあ、もう終わりだよ!お、わ、り!

???:良いじゃないか

一同:ザワワワワワワ
部長:え?・・・せ、専務!!
専務:フォッフォッフォ。奇策冒険、おおいに結構!Dくん。君の気迫気に入ったよ。久しぶりにたぎっていた頃を思い出してもうたわ(ニヤリ)(※専務不敵に笑う。ちらりと口の奥の金歯が見える)
一同:ザワワワワワワワワワ
部長:専務!た・・確かに私も妙案だとは思いますが、こういったことは取締役会を通してでないと・・・!
専務:黙らんか!(ビシィッ)(※専務が杖を部長に向ける)こういったものはスピードが命じゃわい。なあに。全責任は私がとる!
部長:は、はいいいぃぃ!ガシャーン(※部長後ろによろけて机と椅子にぶつかる)
社員E:Dさん!(パアア)(※輝くようなまぶしい笑顔)
専務:すぐにパッケージデザインに移れ!デザインが出来次第国内・海外問わず全ての工場で量産を始めるのじゃ!
社員D:せ・・専務!いくらなんでもそれは・・!
専務:フォフォフォ。攻めるんじゃろ?Dくん。攻める時は、わが社はいつもオールインじゃよ(ニヤリ)(※専務不敵に笑う。ちらりと口の奥の金歯が、今度は左右ともにあるのが見える)
社員D:・・・フフ。そうでしたね!(ニコリ)私も早速現場に戻ります!
さあ・・甘栗をむいちゃいましょう!※ここでテーマソングTOKIOの宙船を被せて流し始める。そのままエンディングへ


・・・そんなつもりなかったのにドラマみたいになってしまった。ドラマが出来るくらい魅力的な企画会議、ぜひ参加したい。