春は出会いと別れの季節ですね花束


わたしは、恥の多い人生を歩んできたので

昔の知り合いなんて

絶対に会いたくないですが

(もし外で見かけて声でもかけられたら

全力で人違いのフリをしまくります笑い泣き)


そんなわたしでも

生涯、一度でいいから

会ってみたい人がいます


それは、小学校のときの1つ下の学年だった

みさわしんたろう】くんです


彼は、サーカス団員の子で

わたしが住む市にサーカスの巡業で

来ていました

巡業が終わるまでのいっとき

わたしの通う小学校に転入してきた

転校生でした


わたしが6年生、彼が5年生

おなじ図書委員でした


仲良くなったきっかけは、

わたしが図書委員の仕事で

やってもいないあらぬ疑いを

かけられたことでした

どんな内容だったかまでは

忘れてしまったけれど

他の図書委員の子たちにひ

どく責められたことは覚えていて。。。

先生まで出てくる始末汗

そんななか、

小学生とは思えない理屈を並べあげて、

他の子たちや先生を論破し黙らせ

かばってくれたのが彼でした


どこか、他の子たちとちがう雰囲気の

しんたろうくんは

"サーカスの子"ということもあいまってか

みんな少し距離を置いて

関わっていたようでした


わたしは、窮地を救ってくれたことで

すっかり心許し仲良くなりました


図書委員の当番がいっしょのときは

委員の仕事をしながら

そうじゃないときは

図書室のいちばん日の当たる場所の床に

ふたりで並んで座りいろんな話をしました


おとうさんは

サーカスの猛獣使いをしていること

おかあさんは

空中ブランコの担当


しんたろうくんは

へび使いの真似事をさせてもらっていること


転校ばかりで寂しかったけど、

いまはもう慣れたこと


図書委員になったのは本が大好きだから


好きな本は【ロビンソン漂流記

わたしの好きな本は【ああ無情


おたがいの好きな本の

どういうところが好きなのかを

話し合ったりもした



『サーカスを観においでよ』と言われ

観に行った

おとうさんはとても勇ましくて

おかあさんはとても美しい人だった


サーカスはとても壮大でおもしろかった


でも、しんたろうくんとは

住む世界がちがうんだなというのも

子どもながらに

しっかりと自覚した日でもあった



さよならはあっという間で


『楽しかったね

ありがとう

さようなら

しんたろう』


もらった手紙にはそう書いてあった


サーカスがあった場所に行ったら

ドーム型のテントがなくなって

更地になっていて

とても寂しくなった


きっとしんたろうくんにとっては

何十回と繰り返した転校先のひとつで

出会ったともだちで


きっといまさら会ったところで

覚えてもないとおもう



それでもいつか

わたしは彼に会ってみたい