日が落ちて辺りが暗くなったので
優作が起きだしているのを期待して再捜索
やはりどこにもいなかった

気はまったくのらなかったが
見つかるメドも立たなかったので
職場に向かった

出る前に表のエアコンの室外機前に
寝床用のポーチと好物を置いた
部屋の窓は開けっぱなし
防犯のことよりも部屋に戻ってくれることで
頭が一杯だった

部屋に戻らなくても好物を齧ってくれてくれれば
希望が残ってくれる

仕事の記憶はほとんど無い
事故らずに無難に仕事を終えて深夜2時過ぎに帰宅

置いていた好物はまったく手がつけられてなかった
寄るのは虫ばっか・・・
つまり「自分の部屋の近辺に優作はいない」
という推論がより確からしくなったってことだ

夜が明けたあとに連絡する保健所・動物愛護センターと
見つかった際怪我しているときに連れて行く動物病院の
電話番号を再確認

考えるべきではないのはわかるが
永遠のお別れとなったときの心の準備も
なかなか止められない

本日の競馬は大勝
コレで新しいコを迎えろって啓示か???
確かにそのコも優作と同じ振る舞いをして
喜びを与えてくれるかもしれない
俺がかつてほどの至福を感じることが出来るかについては
まったく自信がない

いつでも帰ってこれるように当分窓は開けておく
蚊が入ってくるのは仕方ないね
出来ることをやるしかない
明日も仕事があり
当然外せないんで何とか眠ろうと
とりあえず横になる

やはり眠れん
酒を買いにコンビニへ
夜風が庭の木々をざわつかせる
そのとき違和感のある音が耳に入った
風が起こす音にしては不自然なので
立ち止まり耳を澄ました

音を頼りに異音を発する木に近づいた
隣の棟の庭に生えている木だった
暗くてよく見えないが目をこらすと
確かに何かが動いていた

「優作」と声をかけ手を伸ばした
毎日なじんでいるこの飛び移ったときの感触・・・
明かりがなくても即座に確信した

部屋に戻り腹が減ってるだろうと
リンゴを与えたがそれほど興味を示さない
どうやら表の虫をたらふく喰ったみたいだな

コイツにとっては楽しい冒険だったんだろうが
俺にとっては悔いだらけの漂流となった日曜だった

ルカ15章32節
「だが、お前のあの弟は死んでいたのに生き返った。
いなくなっていたのに見つかったのだ。
祝宴を開いて楽しみ喜ぶのは当たり前ではないか」

クリスチャンではないが骨の髄まで思い知らされました
神様感謝です