MP1584電源モジュールの特性評価 | 悪食釣り師のつれづれ日記

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少し前にAliexpressでMP1584を使った電源モジュールを購入。

既にディスコンになっているICのようですが、モジュールは容易に安価で入手できます。

 

販売者の画面

 

 

MP1584のデータシート

 

評価する前に、回路図等を確認。

 

データシートに載っている回路図

 

絶対最大定格

VINの供給電圧は最大30Vですが、それ以外のピンは6Vとなっています。

 

 

イネーブルピンの仕様

最大(最悪でも)1.65V以上掛ければオンとなるようです。

 

基板を見て書いた回路図

データシートに載っている回路図と同様の回路ですが、定数は多少異なっています。

C5とC6はコストアップになるのにノイズ対策用に敢えて追加しているように思います。

しかし出力の積層セラミックコンデンサは実測で5uFしか容量がありませんでした。

これはちょっと残念です。

 

 

基板上の部品の配置

 

R7*の部分には部品が実装されていませんが、この部分は半固定抵抗R7とパラレルとなるようにパターンが形成されていますので、半固定抵抗R7の最大抵抗値を制限する場合やR7を取り除いて固定抵抗で電圧を設定する場合に使用できます。

 

回路で気になったのがR6の100kΩ。

部品管理のし易さで使用する抵抗を100kΩに統一したかったのでしょうか???

EN端子の最大供給可能電圧が6Vですので、データシートの記載に基づくと、IN+に12V以上加えた場合(R5とR6が同じ値でばらつきがないとして)、MP1584が壊れる可能性があります。

安全を見て今回の評価では、R6は白色LEDに置き換えました。

白色LEDにすることでEN端子に供給される電圧は、IN+の供給電圧をMP1584が動作する範囲で常に約3Vになります。

 

R6をLEDに置き換えた様子

面実装タイプが手持ちに無かったので、ヘッドランプから外したジャンクのφ5のLEDを付けています。

ENは1.65V以上あればオンになるので、LEDはどのような色のものでも使えます。

 

 

出力側に電解コンデンサが見えるのは発振防止の47uFです。

最終的には10uFを2個(10uF表記だが実力値は8.5uF、大量に保有)に変更しています。

C2はちゃんとした22uFの積層セラミックに置き換えた方がすっきりしますね。

 

データシートに載っている位相補償用C3R3と出力平滑用C2の値の例

 

 

 

評価の最中に誤ってLEDに力が加わってしまいLEDを実装していたパターンが切れてしまったので、R6を33kΩにしています。

 

 

評価条件

電源モジュールの出力電圧は5Vと3.3V、出力電流は0から3A。

入力電圧は、5V, 6V, 9V, 12V, 15V, 18V, 24Vに設定。

電源モジュールを放熱していなかったのと、今回使用した電子負荷の放熱板が小さくて連続だと消費電力5W程度までしか対応できなかったので、1点測定する毎に3秒間電流を0にする冷却期間を設けています。

 

 

まず

出力電圧

出力電圧5Vの場合

 

入力電圧6Vでは動作が安定しません。

入力と出力の電圧差が1Vでは厳しい条件のようです。

入力電圧9Vでは、ある程度の電流まではうまく動作しますが、グラフを見ると出力電流2A以上で苦しくなり始めているようです。

入力電圧12V以上では良好に動作しています。

初期の電圧降下が大きく見えますが、0から3Aの範囲で電圧降下は30~40mVですので良好な特性ですね。

 

出力電圧3.3Vの場合

 

出力電圧3.3Vの場合も動作が安定する入力電圧の場合、0から3Aの範囲で電圧降下は30~40mVですので良好な特性ですね。

 

 

 

電力変換効率

グラフの縦軸は、出力電力(出力電圧と出力電流の積)を 入力電力(入力電圧と入力電流の積)で割った値を%で表しています。

 

出力電圧5Vの場合

 

出力電流が低いときには効率が低いですが、概ね80%以上の変換効率があります。

条件によっては効率が90%を超えています。

 

出力電圧3.3Vの場合

 

このグラフは出力に電解コンデンサ47uFもしくは積層セラミック10uFx2を追加しない場合です。

例えば入力電圧15Vで暴れているのは電源モジュールが発振しているためでした。

 

入力電圧15V、出力電圧3.3V、出力電流0.7Aの場合 H:2us/div V:20mV/div

約300kHzの発振がありました。  

 

発振を止めたときのスイッチングノイズの様子

入力電圧24V、出力電圧5V、出力電流3Aの場合 H:500ns/div V:10mV/div

 

 

出力電圧3.3Vで、出力に47uFを追加して発振を止めた場合の効率

 

発振が無くなり、グラフが綺麗になりました。

入力電圧5Vで出力電流0.7A付近から暴れているのは、発振では無くこのモジュールの能力不足によるものです。

 

ノイズ

出力電圧5Vの場合

 

出力電流1Aのときに約25mVp-pでした。

以下は入力電圧15V、出力電流1Aのときのノイズ H:5ms/div V:5mV/div

 

先日色々なACアダプタのノイズを評価した結果をアップしましたが、

それらの中の良好なものと同程度です。

 

色々なACアダプタの特性を評価してみた

 

出力電圧3.3Vの場合

 

このノイズレベルであれば、簡単なフィルタを追加するだけで色々な用途に使える電源が構成できそうです。

 

 

 

電源オンオフ時の過渡応答

出力電圧5V、出力電流1Aで電源オンオフ時の過渡応答を見てみました。

本来はEN端子を使って制御するべきなのですが、大元の電源を入り切りするという野蛮?な試験です。

 

入力電圧12Vの場合

 

オン時もオフ時もオーバーシュートは無く綺麗です。

 

入力電圧24Vの場合

 

オン時にオーバーシュートが観測されました。

対策は必要なときに考えることにします。

 

1枚数十円の安価な基板ですが、私には十分使える基板でした。