『35年目のラブレター』 実話ですって | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

テーマ:

悪食 75点
今年 19本目

監督、脚本 塚本連平
出演    笑福亭鶴瓶
      原田知世
      重岡大毅
      上白石萌音
      
江口のりこ
      笹野高史
      安田顕


2003年に朝日新聞で紹介され、創作落語にもなった実話を映画化。
お台場ユナイテッドシネマへ。
日本

鑑賞結果、大人の純愛ラブストーリー。役者がいい演技をしています。

ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️



子供の頃、人里離れた山奥の炭焼き小屋で育った西畑保(笑福亭鶴瓶)は、十分な教育を受けることも出来ず、文字の読み書きも出来ないまま60過ぎまで来てしまった。



文字の読み書きは出来なかったが真面目で一生懸命な保(重岡大毅)は、仕事先の寿司屋の大将(笹野高史)から気に入られ、大将の知り合いの娘・晈子(上白石萌音)とお見合いすることになった。


一目惚れした保はお付き合いをすることになったが、文字の読み書きが出来ないことを黙っていた。
晈子を幸せに出来ないと思った保は、別れを切り出そうとしたが、逆に晈子から別れを切り出されてしまう。晈子は火事で両親を亡くしていて長女(江口のりこ)が親代わりとなって晈子達姉妹を育ててくれた為、自分だけが幸せになる訳にはいかないと別れを切り出したのだ。
二人は別れることになったが、後日、晈子は姉と共に仕事場に訪ねて来た。姉は「妹は私に気を遣ってばかりです。この子の幸せは私の幸せなんです。嫁にもらってください」と頭を下げてきた。
保は「妹さんと結婚させてください」と改めて願い出て晈子と結婚することとなった。



読み書きが出来ないことを隠して結婚した保(重岡大毅)だったが、それがいつまでも隠し通せることもなく、半年後には打ち明けたのだ。
その時、晈子(上白石萌音)は、「私があなたの手となります」と言って支えると言ってくれた。



二人の娘が生まれてその娘達も結婚した頃、保(笑福亭鶴瓶)は夜間中学に通い出したのである。妻にラブレターを書きたいという思いからだった。


クリスマスまでには書けるようになると言っていたが、なかなか思うようにはいかず、次のクリスマスの日にラブレターを渡した。晈子(原田知世)は「ありがとう。63点やな」と言って笑った。


保は夜間中学に通い続けた。
そんな時、晈子が倒れたのだ。軽い脳梗塞であったが、医者は軽いうちに手術をしたほうがいいと勧め、晈子は手術を受けることにした。手術は成功したが、晈子は床に伏せることが多くなった。


保が新たなるラブレターを書き上げ、クリスマスに渡すと言っていた時に晈子は倒れ帰らぬ人になってしまった。
保は魂が抜けたようになってしまった。
保は晈子を幸せに出来なかったと悔いていた。俺と結婚しなければ良かったとまで言い出した。
暫くして遺品の整理をしていると晈子愛用のタイプライターに手紙があることに気付いた。
その手紙には、晈子の想いが綴られていた。
愛していること。幸せだったこと。初めてのラブレターは泣き出したいほど嬉しかったこと。それでも夜間中学を辞めてほしくなくて厳しいことを言ったこと。


保は晈子のラブレターを読むことが出来たことを誇らしく思えた。
そして晈子の望み通り、夜間中学を卒業することを決意するのである。



それから何年かして保(笑福亭鶴瓶)は、夜間中学を卒業した。入学当時の担任だった谷山先生(安田顕)は、すでに退職していたが卒業式に来てくれた。
夜間中学卒業生代表として壇上に上がった保は学生達に向けての挨拶をした。
そして黒板に一つの文字を書く。
「辛」この字は辛いと読むのだがちょっとしたことでこれは「幸」に変わると。
「横棒を一本足すだけ。ちょっとしたこと」と。
「皆さん、辛いこともちょっとしたことで幸せに変わります。頑張ってください」

晈子(原田知世)といつも座っていた河川敷のベンチ。


思い出が溢れる悠久の時間がそこにはあった。
エンド。

という映画です。
大人の純愛ラブストーリーです。
ただそれだけなんですが、それを若い時代を重岡大毅と上白石萌音が。年老いてからを笑福亭鶴瓶と原田知世が。
このキャスティングがなんとも言えず良かったです。


子供の恋愛物など観る気がしないと以前から言っていた悪食ですが、これくらいの年齢の話となるとなんとなく入ってくるものがあり、2時間しっかりと観てしまいました。
実話ならではのリアルさではあるのですが、登場人物があまりにもいい人ばかりで、悪い奴が出てこない。そんなちょっと居心地も悪かったりするのですが、ストーリーは素直に入ってきて感情を揺さぶられます。
こんな映画もたまにはいいのかもしれません。

是非、劇場でご覧ください。