『オッペンハイマー』 この映画が今年のアカデミー賞らしい | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食 70点
今年 28本目

監督、脚本 クリストファー・ノーラン
原作    カイ・バード
    マーティン・J・シャーウィン
製作    クリストファー・ノーラン
出演    キリアン・マーフィ
      エミリー・ブラント
      マット・デイモン
      ロバート・ダウニー・Jr

      
2024年アカデミー賞、作品賞をはじめ最多7冠の「原爆の父」と言われた物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画。
渋谷TOHOシネマズへ。

鑑賞結果、3時間は長い😱会話劇の為に飽きる。これが今年のアカデミー賞ねぇ。

ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️



第二次世界大戦中、若き天才物理学者のロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)は、核開発でしのぎを削るアメリカ、ドイツ、ソ連の中でどの国が最初に核爆弾を作るかという競争の真っ只中にいた。


核爆弾を作った国が世界を制すると考えられていた。
アメリカは当時の敵国ドイツに負けるわけにはいかなかった。そして当時の同盟国であるソ連も出し抜こうとしていた。
そんな中、オッペンハイマーは原子力委員会議長ルイス・ストロース(ロバート・ダウニー・Jr)の強い推薦を受けて核開発のマンハッタン計画において原子爆弾プロジェクトの委員長に任命された。


オッペンハイマーは世界中から優秀な物理学者や科学者を招集した。

核融合反応は理論物理学では不可能と考えられていたが、オッペンハイマー達は実験によって核融合は可能であるという結果を導き出していた。


こうして核爆弾の製作は軌道に乗った。
しかし爆弾開発を国が行なっているのは戦争という中で使うという最終兵器にしたいからであった。
研究開発には軍が関与しているというよりは、軍の管理下で行われていたのだ。
核開発はドイツやソ連でも行われていた。最初に開発できた国が世界を支配すると言っても過言ではなかった。アメリカは焦っていた。
核融合が可能だという実験結果を得られると、すぐさま核爆弾の製造を求められた。実験を繰り返し、砂漠の中に実験街までをも作り上げた。
そして核爆弾実験が行われた。


その威力は凄まじく、地獄の業火そのものだった。

原子爆弾の実験成功は全世界でニュースとなる。
オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)は時の人として称賛されるのだが、原子爆弾の使用に関しては、その権限は政府と軍部に渡り、研究者に口を出すことは許されなかった。


そして次には原子爆弾よりも破壊力の大きい水素爆弾の開発を命ぜられるのである。
しかしオッペンハイマーは水素爆弾開発を拒んだ。核融合の研究を進めるべきだと。
政府と軍はこれに対して違を唱える。そしてオッペンハイマーを核開発部門から外そうとするのである。聴聞会にかけられるオッペンハイマー。果ては東側のスパイとまで疑われた。それには原子力委員会議長ストロース(ロバート・ダウニー・Jr)の画策もあった。ストロースはオッペンハイマーに恥をかかされたと恨みに思っていたのだ。
こうしてオッペンハイマーは核開発の一線から外された。



この映画は、オッペンハイマーの栄光と挫折の物語である。
物理学者が研究の成果として原子爆弾を開発した。その威力は凄まじいものだった。

アメリカは戦争を長引かさない為にその爆弾を日本に対して使った。広島と長崎にだ。こうして日本は降伏し、戦争は終わった。アメリカの思い通りに。確かに長引く戦争による死者は減った。しかし日本は原子爆弾による大きな被害を後世にまで引きずることになる。
しかしこの点については、この映画は言及していない。
原子爆弾の映画を作るなら、この点を描かないのは如何なものであろう。
しかしそう考えるのは日本人だからなのかもしれない。
戦争を長引かせずに自国の国民の命を守る方法として、原子爆弾をつくり使用した。結果、第二次世界大戦は終わったのである。死者だけで言えば、どちらの国も少なく済んだと言えるだろう。
しかし原子爆弾がどのような結果を生んだのかを検証していないこの映画に賛辞は送れない。
苦悩しているのは、開発者であるオッペンハイマーだけということではないのは明らかなのに。
この映画はタイトルが「オッペンハイマー」ということで、あくまでも個人を描くという点ではそれでもいいのかもしれないが、それ以上にこの原子爆弾がもたらした世界に対する効果は考えなければならないはずだ。
ここから始まる核開発競争は戦争抑止力という名のもとに世界中が開発を続け、今や地球を何回も破壊出来るほどの量がある。
今も戦争は起きる。核を使えというとんでもないことを言い出す政治家でさへいる。日本にも核が必要だという政治家もいる。
唯一の核被爆国である日本の政治家がだ。悲しくなる。

この映画は歴史映画としてアメリカが作ったものということではいいのだろう。
日本がこの映画に対してのアンサー映画を作ったら面白いだろうな。
この映画がアカデミー賞をとった背景もなかなか政治的なのかもしれない。
なかなか評価が難しい映画だ。

是非、劇場で観て判断していただきたい。