『マッチング』 監督が悪い! | 悪食のシネ満漢全席

悪食のシネ満漢全席

ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食 45点
今年 13本目

監督、脚本 内田英治
脚本    宍戸英紀
出演    土屋太鳳
      佐久間大介
      金子ノブアキ
      真飛聖
      杉本哲太
      斉藤由貴
      片岡礼子

マッチングアプリによるサスペンススリラー。
豊洲ユナイテッドシネマへ。

鑑賞結果、う〜ん、土屋太鳳がいつもとは違うキャラで演技しているのですが、これは悪食的には無しです。映画も構造的には面白いとは思うのですが、殺し方に説明が欲しいですねぇ。他の役者達もみんな微妙です。

ここからネタバレ満載でいきますからご注意を⁉️



ウエディングプランナーとして働く輪花(土屋太鳳)は、恋愛に奥手で同僚尚美に勧められてマッチングアプリを登録した。


マッチングで相性97%とでたトム(佐久間大介)と会ってみたが、雰囲気が暗くてとても相性がいいとは思えなかった。ところがトムの方は輪花に一方的な愛情を持ちストーカー化していった。



先ずこのマッチングアプリの97%相性というのが、何の説明もないので分かりません。金髪のお兄ちゃんと真面目なOL。どこの相性が合ったのでしょうか?

世間ではマッチングアプリによって結婚したカップルが次々と殺されるという連続殺人事件が起きていた。
その事件によって評判を落としていたマッチングアプリ会社が輪花の務める結婚式場とコラボすることになった。そのマッチング会社は輪花が使っていたアプリの会社だった。
トム(佐久間大介)のストーカー行為に恐怖を覚えた輪花(土屋太鳳)は、マッチングアプリの担当者、影山(金子ノブアキ)に相談を持ちかけた。親身になってくれる影山にいつしか心惹かれていった。


しかし影山には計画があって輪花に近付いていたのだ。
影山の母親、節子(斉藤由貴)は若い時に輪花の父親、唯島(杉本哲太)と不倫関係にあった。子供が出来たにもかかわらず捨てられたことに腹を立てて唯島を包丁で刺したのだ。節子は警察に捕まった。輪花の母親も後に家を出てしまった。それ以来行方不明だ。
節子の息子である影山は母親の無念を晴らす為に唯島の一人娘、輪花を探していたのだ。



さてさて、何故なのでしょうか?不倫の相手を刺したのは母親で警察に捕まった。それを逆恨みして不倫相手の娘を狙う?ちょっと意味が分かりません。

父親の唯島(杉本哲太)は節子の居場所を知っていた。(何故なのかは不明)そして彼女に会いに行き帰らぬ人に。橋の欄干で首を吊ったのです。(どうやら息子が加担なのだろう)
あれほど父親の不倫を毛嫌いして、父親を軽蔑していた輪花(土屋太鳳)は狂ったように泣き叫ぶのです。(ファザコン?)
父親は殺されたのだと思った輪花は影山(金子ノブアキ)に協力してもらい真相を探るのだった。


影山は真相を掴んだと輪花に伝え、2人でそれを確認しに行こうと提案。警察は当てにならないとも。(まあ、怪しいですわなぁ)
影山が輪花を連れて行ったのは廃墟となった団地。そこはかつて影山が暮らしていた団地だった。そこで輪花を殺そうとしたのだ。(逆恨み?)
そこへ現れたのがトム。影山が輪花のスマホにスパイアプリを仕込んでいたことも発覚し、影山は警察に捕まった。
影山は一組のカップルを殺害したことと、尚美を殺したことは自白したが、それ以外は関係無いと言った。

そんな中、トムは影山節子のいどころを見つけたと輪花を連れ出した。2人が訪ねたのは山の中の一軒家。


そこには2人の妙齢な女性が住んでいた。1人は車椅子でもう1人が彼女の世話をしていた。
輪花(土屋太鳳)は最初、車椅子の女性(片岡礼子)が父親の不倫相手の節子だと思ったが、何か様子がおかしい。彼女のスカートを少し捲ると、足は拘束されていた。
女は行方不明になっていた輪花の母親で介護していた女性が節子(斉藤由貴)だったのだ。
全てが分かった。輪花の母親は家を出たのではなく、節子に拉致されて監禁されていたのだ。
その時、輪花を節子が包丁と刺そうとするが、そこへトムが入り、トムの背中に刺さった。
その後、節子は警察に捕まり、トムは病院に運ばれた。

信じていた影山(金子ノブアキ)に裏切られ、父親に死なれ、仲の良い同僚までをも亡くした輪花(土屋太鳳)は絶望の中にいたが、そこで唯一心を支えたのがトム(佐久間大介)の存在だった。輪花はトムに新しいコートとスニーカーをプレゼントし、デートに誘うのだった。

その後、勾留されている節子(斉藤由貴)にトム(佐久間大介)が面会に現れた。
トムは節子に語った。
「輪花を調べているうちにわかったことがある。俺は25年前にコインロッカーに捨てられたあんたと唯島の子供だよ」

トム(佐久間大介)は輪花(土屋太鳳)の愛を手に入れた。


しかしマッチングアプリ連続殺人事件は終わってはいなかった。
エンド。

という映画です。
さて、突っ込みどころの多い映画です。
最大の疑問はマッチングアプリ連続殺人事件はどのような動機で、またなぜあんなサイコパス的な格好で殺されているのかの説明が一切無いのは疑問どころか唖然です。
この映画は「マッチング」というタイトルでもある通り、マッチングアプリの問題点や良いところをちゃんと描かないとこのタイトルにですらならないご都合になってしまう。
脚本段階では動機や殺人形式の説明はあったと思われるのだが、コンプライアンスや尺の問題で切ったのでしょうか?
それこそ愚策でありこの映画の価値を落としたのではないでしょうか。
そして構造的には面白いのですが、複雑にし過ぎて伏線回収も出来ず、とっ散らかった印象しか残らなかった。

それと役者陣のキャラ設定の甘さ。
主役の土屋太鳳がどんな性格なのが最後まで全く解らなかった。
ヒステリーなのか、臆病なのか、クールなのか、情感あふれているのか?全て出されたら彼女の方がイカれた女に見えます。
ファザコンならファザコンらしい演技をしてもらいたい。そう演出してくれ。
監督の彼女に対するキャラ設定がブレブレだ。
金子ノブアキもそう。あんな良い役者にあんな適当なキャラ設定でこの映画に出すのは無駄遣いとしか言いようがない。
彼の出演作駄作ナンバーワンになりそうだ。
杉本哲太もそうだ。不倫で刺されて、最後は殺された?娘とも向き合い方も浅過ぎて笑える。
斉藤由貴も最後のボスキャラとしての存在感だけで選ばれたとしか思えない。
台詞回しも陳腐で包丁かざすなんて、不倫相手の奥さんを拉致して長年甚振っていた冷血女とは思えない。
佐久間大介も微妙な役どころに困り切ってて、役作りが出来ていない。
つまりは役者が総崩れ。
しかしこれは役者の責任では無い。
全ては監督責任だ。内田監督の原作、脚本、監督なのになぜこんな穴だらけの甘々設定やキャラにしたのか?
同じ脚本を韓国映画に売ればいい。100倍怖くて冷酷な映画が出来上がるはずだ。

全くオススメしない映画です。