悪食 70点
今年 40本目
平柳敦子監督による桃井かおり主演の短編映画を同監督が寺島しのぶを主演に迎え、長編映画にしたもの。
監督 平柳敦子
主演 寺島しのぶ、南果歩、忽那汐里
役所広司、ジョシュ・ハートネット
鑑賞結果、女性が一人で生きていくという心情を狂気に近い感情で描いていく。
そこに薄ら寒い恐怖を感じた。
ここからはネタバレ満載でいきますからご注意を!
40代、独身、事務系のOLとして毎日変わらない生活を続けている女性(寺島しのぶ)の物語です。
彼氏もいないし、友人もいないし、趣味や興味のあることも無い。
ただ変わらず毎日を生きていて死ぬまでの時間を消費する毎日。
そんな彼女の目の前で電車に飛び込む男がいた。
何か彼女に囁いてから電車に飛び込んだ男。
死を目前にした時から彼女の何かが狂いだす。
突然、姪(忽那汐里)から電話。相談があると。
英会話教室に入ったが、辞めることにした。しかし返金はしてもらえない。受講生を変えることは出来る。
替わりに行ってくれないかと。払った費用は60万。
取り敢えず体験クラスに出てみて考えてもらえないかと。
英会話教室はカラオケルームを再利用した個室レッスンの怪しげな教室。
そこで彼女(寺島しのぶ)は、英語教師のジョン(ジョシュ・ハートネット)と知り合う。
彼の教室ではアメリカンネームを付けるのがルールだった。
彼女の名前はルーシー。金髪のウィッグも被せられた。
ハグから始まる一風変わった英会話。
彼女はそのなんとも言えない不思議な世界観に魅了され、姪に代わって英会話教室に通うことにした。
この一風変わった英会話教室。意外といいと思ったのは私だけでしょうか?
カラオケルームを利用するあたりはなかなかいいアイデアかと。
この変わった英会話に彼女(寺島しのぶ)が惹かれたのは、その教え方だけじゃない。
ジョン(ジョシュ・ハートネット)に惹かれているのも理由だった。
しかし彼女が心弾ませながら教室に行くとジョンは教室を辞めていた。
彼はアメリカに帰ると。
失意のまま教室を出るとジョンと姪(忽那汐里)がキスしているところを目撃してしまう。
ジョンと姪はアメリカに行ってしまった。
ここからの周りへの当たり散らしは酷いもの。
本音を言うことは周りを傷付けるのを知っていてやる。
言いたい放題。
そして姪(忽那汐里)からのエアメールが来ると、長期休暇を取ってアメリカに飛ぶのであるが、ここから姪の親である姉(南果歩)との絡みが出て来る。
姉とは仲が悪いですねぇ。どうやら妹(寺島しのぶ)の彼氏を奪い取って結婚したとか。
仲が悪いのは当たり前かも。
それでもアメリカには一緒に探しに行くと言う。
そして仲の悪い姉妹がアメリカへ。
ジョン(ジョシュ・ハートネット)は直ぐに見つけたものの姪(忽那汐里)は、既にそこにはいなかった。
3人は姪を探す旅に出る。
ジョンに想いを寄せる彼女(寺島しのぶ)の行動は理解不能。
無理矢理ジョンとセックスはするもののそれ以降は拒まれるだけ。
そうしているうちに偶然、姪(忽那汐里)と遭遇。
ジョンとの関係を姪に話してしまう。
その気持ちは女としてのプライドか?はたまたジェラシーか?
姪は誤って崖から落ちて重傷を負う。
姉からも姪からもジョンからも拒否された彼女(寺島しのぶ)は一人、日本に帰って来る。
会社に戻ると自分の席は無くなっていた。
そうして彼女は仕事さへも辞めてしまう。
全てが上手くいかない彼女は自殺未遂を起こしてしまう。
回復した彼女にはまた新たな平凡な毎日が待ち受けているのであった。
う〜ん、未婚の高齢女性にはこの話は共感出来るのだろうか?
かなり屈折している。
平々凡々だが頭の中はこんな感じなのか?
男が観ると恐怖しか感じない。
こういう女性が求める愛情とは何なのか?
こういう女性が求める人生とは何なのか?
「勝手に震えてろ」が若い女性の屈折した精神構造映画なら、これは中年未婚女性の屈折した精神構造映画かと。
男目線の観たまんまの評価です。
女性から観るとまた違った評価があるのかも。
寺島しのぶと南果歩の演技は圧巻でした。
オー・ルーシー!はOLに引っ掛けているだってさ。
初日の舞台挨拶で監督が言ってました。