寄せられた悩み。

 

50代女性『5年前に乳がんになりました。先日子宮体がんと分かり、勤め先に伝えたこところ手術の前後、半月、2週間くらいしか休みをもらえそうもないことが分かりました。その後、化学療法の可能性もあるのでどうすればいいのかと悩んでいます。

正社員なのですが、人数が少ないので仕事を辞めるしかないのではないかと悩んでいます。

傷病手当(この場合は健康保険の方でしょうか)の書類は来たんですけれども、まず 有給休暇 から使ってという空気が経営者側から聞こえてきています。

 

あとはやめさせられそうなんですけど、辞める必要はないですよね?辞めさせられそうな場合、どういう風に対処するのが良いでしょうか。』とのことだった。

 

5年前に乳がんになったときは、別の会社に勤めていたけれど、そのときは泣き寝入りをしてしまった、今度は後悔したくない、という気持ちが伝わってくる。

 

会社の人事部からの相談が多い、という多屋美織先生にも伺った。

 

多屋先生『多分、この方が書類を受け取ったのは傷病手当金、健康保険の方だと思うんですけれども。まず有給休暇っていうのはですね、会社が指定したり、どうこうすることはできないんです。迷わずに傷病手当金からもらってください。(会社には時期変更権のみは認められている)

 

傷病手当金をもらって休職するのか、有給休暇もらってから、というのは個人の判断に委ねられているので会社がそういう雰囲気でもそういうことを言われたとしてもご自身で決めていただけたらと思います。』

 

小さな会社でも10人以上だと就業規則があったり10人いなくても作っている可能性があるので必ずご自身の休職制度を確認していただきたい、とのこと。

 

阿久津『最後に、もしやむなくですね、退職しよう、となった場合、どうすればいいのでしょうか。』

 

多屋先生『退職勧奨、グレーゾーンですけれども、例えば会社都合で辞めた場合、自己都合で辞めた場合、その後の雇用保険の金額や期間などがだいぶ変わってきます。

 

まず注意しておきたいのは”病気になりました、すぐ退職”、で辞めちゃうのはダメ。有給休暇は自分の希望で使っていいということで休職制度をきちっと確認すること。もし辞めざるを得ないときはすぐに辞める手続きをするのではなくて少しそういう制度をみてからにするってことが大事かなと思います。

 

後戻りしづらいというか、退職の時点で傷病手当をもらっておかないと、辞めた後、続けて受給できません。こうしたこともありますのでまず就業規則、そして休職制度も見ておくべきかと思います。

 

あとは立ち止まれたとして、もしも退職勧奨が来ても、自分からあまり退職届を書かずに待つというようなことが賢いのかもしれないなっていうところです。』

 

やはり、先生方もお話をしておられましたが、専門家の誰かにちょっと相談してみることによって、アドバイスが受けられるし、救われる方がたくさんいる。

 

多屋先生『逆にご自身で知らずに動いてしまうと私たちも助けられるべき人が助からない。なので、まずは判断せず、持ち帰ってもらうのが大事だと思います。』

 

傷病手当金をもらったままで辞めるときは、最終日に会社に出てしまうと継続給付にならないので気を付けなくてはならない、など目からウロコのお金のお話もあった。

 

本当は辞めないで続けられて、ちゃんと仕事を続けられるのが一番ベスト。そういう想いをしないに越したことはない。自分もですけれども、周りの方に専門家に相談して、一歩ちょっと立ち止まって考えてって、アドバイスするだけで、救われる方がいるのではないかと思う。

 

治療と就業の両立支援の相談窓口

ハローワークや市町村の無料相談サービス、そして、がんと働く応援団などのNPOもある。がん情報サービスにも概略が記されている。参考にしてほしい。

 

https://ganjoho.jp/public/institution/qa/index.html