自分は20年ほど乳がん患者さんを取材をさせていただいていて、何人も出会ってお別れして今がある。この20年、やっぱり変わってないことが『がん=死』だという無意識の偏見だ。

 

言った瞬間にいろんな人に”無言”になられてしまったり、ちょっと空気を悪くしちゃったり。がんに対するその意識が皆さん、よくないと感じていた。医療の進歩でそんなに悲観するようなものではなくなってきているし、乳がんへの理解を深めるとそれだけでちょっと不安が減ったりとかすることもある。本当に乳がん患者へのあたたかな理解が広まると嬉しい。

 

このYouTubeライブの時、入浴着についても話が及んでいた。

 

山下先生『(アメリカ在住で)シャワーで2年くらい湯舟に使っていないので温泉がうらやましい。胸のところギャザーがすごくいい感じに入っていてとてもファッショナブルだなって思ったんですよね。もう手に取った感じなんか、わざわざっていう感じがなくてすごく良いなっていうのと軽いのとあとはすごく脱ぎ着がやっぱりしやすいっていうのがポイントかなと思うんですけれど。温泉のその入るスタイルっていうのがもう今後変わってしまったらいいのにって私は思っていてお胸の手術を受けたからとかそうじゃなくても、やっぱり見せて入るのが嫌な時期がある。

 

ティーンエイジャーでもやっぱりそういう子って結構いると思うのです。何の気なしに500円払ったら着られる。そんな温泉文化もアリなんじゃないかなと思って、なんなら文化を変えてしまってもいいのかなっていう感覚で私はつけてみました。』

 

本当にそうだと思う。それこそ外国の方で肌があまり見せられないという方とかでもきっと使っていただけることができる。入浴着はこれまではレンタルが多い。このコロナ禍。使い切りにニーズもある。

 

伏見先生『この(畿央大学の)村田先生の入浴着を初めてニュースで見たときにすごく感動して。ツイッターで上げたら僕のツイッター史上で一番リツイートされるぐらい反響があって。やっぱりデザインが素敵。

 

その胸に傷がある方って、乳がんの術後の方だけじゃなくてたとえば心臓の手術であったりとか、やけどとか、結構いろんな形で胸に傷がある方って多かったりするんですね。そのような方も温泉を楽しめるようになるっていうのはすごい大事なことです。

 

温泉が好きだった人が乳がんの手術をためらったりするっていうことも実際やっぱりあるのでそういった意味でもこういった入浴着が広まるっていうことは乳がんの術後の人にとってもすごくハッピーなことだと思いますし、これから治療を受ける方にとってもかなり勇気づけられるものだと思うので。どんどん広がっていくといいかなっていうふうに思います。』

 

ブレスト・アウェアネスと入浴着、実は密接。乳がんや胸のことを自分事としてとらえられるかどうか。誰もが誰もを思いやり、誰もが過ごしやすく・・・温泉一つ、って言われる方もいるかもしれないが、普通に行ければ、何かいろんなことができることにつながるのではないかと私は思うのだ。