本当に乳がんになってあきらめなくてはいけないことばかりだ、と話す彼女がひとつやりたいことがあるという。

 

『がんサバイバーさんでファッションショーができたらいいな』

 

乳がんになると乳房を始め、髪、皮膚のハリなど女性らしさを失って自信がなくなると訴える人が多い。

 

恵理さん「癌になるとかつらをかぶるとか、自分を隠すというか。それを少しでも明るい気持ちにもっていってがんサバイバーさんでファッションショーができたらいいな。女性としての自信を取り戻してほしいなと。』

 

実は小学校6年生の長男はADHDだった。しばらく私も知らなかった。コロナと彼女ががんになったことでのストレスは増える一方だったという。

 

時折、頭を壁に打ち付けるなどの自傷行為と興奮状態となり、意識喪失を起こす。大声を出すこともあることから、警察が来たこともある。学校からは自傷行為をしないという確約ができなければ来ないでほしいと言われた。本人は好きでそんな状況になっているわけがない、そこには外的ストレスなど何か理由がある。本人も親である彼女も傷ついていた。

 

加えて、その長男を親に預け続けると母親が疲弊してしまうのではないか。母親には心配かけたくないのが娘の思いだ。

 

長男は彼女ががんになったことによって気持ちが崩れてしまったという。治療で実家に預かってもらっていて、気を張ってしまい気持ちのコントロールが付きずらくなってしまった。体格が大きいことから、華奢な彼女では抑えられないこともある。児童相談所に一時預かりを相談したことがあるが、あらかじめ、面接をしたり、予約をいれておかなければならない。治療の日はわかっているが、副作用で自分が具合が悪いときは突然来る。さらに、長男は預かってもらえても、次男は預かってもらえるわけではない。

 

そして追い打ちをかけるように私たちに久しく新型コロナが降りかかってきた。学校へも行けなくなり、長男の気持ちのコントロールはより難しくなった。春に中学に上がってからはより深刻な状態に。

 

さらに緊急事態宣言。彼女は移動に感染のリスクがあることから札幌に来られず、抗がん剤治療を中断せざるを得なくなった。