『結局あと何回抗がん剤をやるの?』

 

『今日入れて5回。来年の3月13日に最後。それで予後があげられる のであればやるよね。少しでも確率あげたいしね。あと20年くらい生かさせてくれないかなと。』

 

いつものように笑顔で

 

『全然ない。吐き気なんて一回もない。毎日がおなかすいてる。』

 

医療の進歩で抗がん剤治療の際の吐き気などの副作用は軽減されてきている。でも体調の変化を感じながらの子育ては想像を超える。お子さんの様子も知りたいと釧路の自宅で話を聞いた。

 

次男はお手伝いをよくするようになったという。寝ていたら、ただ眠たくて寝ていても具合が悪いの?と心配してくれる。夢は医者になることだ。

 

次男は『心配だよ、だっていつ倒れるかわかんないじゃん。いつステージが上がるかわかんないよ。』と話す。彼女は入院前に病状を伝えていた。その後もこまめに報告している。子どもでもがんを理解できている。

 

家ではウイッグを外す。蒸れて暑いという。蒸れない高機能のウイッグも最近できているが、シングルマザーの彼女に贅沢はできない。

 

口をついて出てくるのは『再発がやっぱり怖い。再発が。遠隔転移がこわい』。

 

お互いそうだ。抗がん剤でもホルモン治療でも、しっかりなくなったという、証拠、データが欲しい。でも厳密にはわからない。

 

抗がん剤治療は感染症にかかったり、白血球などが低下すると中止せざるを得ない。大勢が集まるところは避けることがそのリスクを減らす。次男の学習発表会へ行くのはあきらめざるを得なかった。

 

学習発表会の映像を見ながら、来年は行きたいと。本当に乳がんになってあきらめなくてはいけないことばかりだ、と話す彼女がひとつやりたいことがあるという。