学生にいわれた アンコンシャスバイアス

 

ドキュメンタリーを放送した後、講演で立命館アジア太平洋大学に呼んでいただいた。乳がん患者と社会の壁、、というようなお話。ドキュメンタリーを見てくださった古くからの高校時代の縁で実現した。彼は英語の先生。この大学の学生さんに英語版の翻訳をお願いしていた。

 

 このコロナ禍、ずっと大学はオンライン授業だったそうだ。大分はほとんど感染者が出ていなかったが、まだ大学の授業はハイブリッドだった。実際に来てくれた学生さんよりオンラインの学生さんの方がはるかに多く、さらにどこからでも参加できることに驚いた。大学に海外からの留学生が多いこともあり、日本と外国の違いなどに非常に興味をもってもらったと思う。

 

 学生代表のもえさんからの質問を生かした授業で一方的ではなく、新しい体験でもあった。

 

 周りにいたら、どう声をかけたらいいのか。がん=死という無意識のバイアスを変えるにはどうしたらいいのか?日本にはがん患者が悩んだときの相談窓口はないのか?などなど本当に突っ込まれ放題で面白かった!

 

このもえさんたちのグループは APU RIBBON という名前で、すでに学内でピンクリボン活動もしていた。

彼女から言われた一言が胸に刺さった。

 

「がんイコール死はマスコミの刷り込みではないか」というのだ。

 

演出の一環で死を美化して盛り上げてはいなかったか。泣かせようと過剰に演出してなかったか。死に向かって構成していないか。患者さんが効いたら傷つける言葉を使っていないか。過酷な現実ばかりを強調していないか。抗がん剤=激しい吐き気、などは少し違う。治療法の変化や副作用の改善をアップデートしているか?

 

 元気ながん患者さんは多い。もちろん無理をしていることもあるだろうけど。具合が悪い日ばかりではない。もちろん、寝てばかりいる日もあるけれど。

 

 元気ながん患者じゃネタにならないと思う人も多いかもしれないけれど。

 

 自分自身も含めてマイノリティだから、取材対象になる部分も理解できる。マイノリティが静かにしていてずっとマイノリティだと全く世の中は変わらない。まずは声を出す。これまで取材した患者さんから教わったことだ。